最近ミョーに気に入っている曲があって、ゲイリー・ムーアの「アウト・イン・ザ・フィールズ」という曲なのだが、必要に迫られて聴いてみたら、なかなか良い。必要に迫られて、というのは、早い話コピーする事になったから、である(笑)
アップテンポの曲である。まず、その疾走感がいい。アイルランドを歌った曲なのか、全体的に荒涼とした感じがするのもいい。サビのメロディもなかなかだし、ギターソロも実にカッコいい。マイナーコードの、いわば“ベタ”な曲ではあるのだが、その“ベタ”さ加減がまたよろしい(笑)。80年代以降の、いわゆる様式HRには今イチ馴染めないのだが、ゲイリー・ムーアの場合は様式というより、70年代を引きずったハードロックという感じがする。それで割と抵抗なく聴けるのだろう。ただ、この曲、フィル・リノットが参加してる所を見ると、80年代前半の曲なんだろうけど、バックの音はかなり打ち込みっぽい。やや無機質な感じだ。ドラムなんて、かなり音をいじっている。曲調にあわせる為に、こういう音にしたのかもしれないが、70年代にこの曲を録音していたら、どんな風になったのだろう、なんて想像すると面白い。
僕は、ゲイリー・ムーアはほとんど聴いた事がないのだが、たまに聴いてみると、この人が日本で人気ある、というのが分かる気がする。この「アウト・イン・ザ・フィールズ」もそうだが、わずかに知ってる他の曲だと、「オーバー・ザ・ヒルズ・アンド・ファー・アウェイ」(ちなみに、この曲も昔バンドでコピーした)にも共通するものがある。ハードだけどヘビーではない音作り、起承転結がはっきりした分かりやすい構成、メロディックで哀愁に溢れ尚且つ欧米的でない曲調、そして泣きのギター。正に日本人好み。さすがに、マイナースケールの曲ばかりではないと思うけどね(笑)
所で、話は変わるが、「再結成して欲しいバンド・グループランキング」なんてのを見つけた。見た人も多いと思うが、10位までを紹介しておくと、
1位 BOφWY
2位 オフコース
2位 プリンセス・プリンセス
4位 レベッカ
5位 JUDY AND MARY
6位 ユニコーン
7位 チェッカーズ
8位 THE BLUE HEARTS
9位 THE YELLOW MONKEY
10位 リンドバーグ
ふむふむ(笑)
この中で、よく聴いてたのはBOφWY、オフコース、レベッカ、チェッカーズあたり。ベスト盤くらいしか聴いてないのがプリンセス・ブリンセス、ユニコーン、有名な曲しか知らないのはJUDY AND MARY、THE BLUE HEARTS、リンドバーグ、ほとんど聴いた事ないのがTHE YELLOW MONKEY、とこんなとこかな。
アンケートを募るにあたって、別に“日本のバンド”に限定した訳でもないだろうが(笑)、日本のバンドばかりだ(笑) 確かに、かつて一世を風靡したバンドばかり。解散してから20年近く経つBOφWYが、相変わらず人気だというのにも驚く。ま、今や伝説となっているバンドだから、一度見てみたいという若いファンが多いのだろう。元メンバー全員生きてるし(笑)
そう、解散して何年も経っているバンドの再結成を希望する場合、ファンは何を期待するのだろう? ま、ライブ(生)を見たいか、新曲を聴きたいか、のどちらかだろうね。バンド自体は存在しなくても、CDを聴く事は出来るのだから、その音楽に接する事は可能な訳だし。ライブにしても、何年も前のDVDではなく、生で見たいという事なのだろう。
このランキング、30位まで掲載されているが、もちろん、大半が80年代それも後半以降にブレイクしたバンドばかりだ。70年代以前のバンドだと、はっぴいえんどが19位に入っているのみ(オフコースのデビューは70年代だけど)。これも、おそらく伝説となって、当時を知らない後追いファンも多いせいなのだろう。アンケートに回答した人たちの年齢がだいたい分かる(笑)。それと、80年代以降の日本の音楽状況も。ヒットチャート上位にバンドが入ってくるようになったのは、80年代後半あたりからだった、という訳ね。これと入れ替わって、洋楽が徐々に衰退していくのである。
70年代から80年代にかけては、ロックバンドといえば、外国のバンドを指すのが当たり前だったと言ってもいい。日本のロックバンドが好きな人は、マニア扱いされてたような気がする(笑) しかし、上記のバンドたちがブレイクし始めた80年代後半から、ロックバンドは必ずしも洋楽とは限らなくなった。70年代の頃は、外国のバンドに憧れて自らもバンドを結成する、という青少年が大半だったが、80年代終わり頃からは日本のバンドに憧れる若者が増えてきたのである。特に、上のランキングにも入っているBOφWY、レベッカ、THE BLUE HEARTSの3バンドの影響は大きい。
かつて、ロックバンドといえば外国、という図式が成り立っていたのは何故か。それはロック自体が欧米で生まれたものであり、表現の手段としては日本人向きではなかったからだ。要するに、外人のロックの方が日本人のよりカッコ良かった訳ね。ま、それでも、60年代から80年代にかけ、日本にも優れたロックバンドが多く登場したが、これらの大半は商業的に成功する事は出来ず、ロックバンドといえば第一に洋楽、という状況が長く続いたのである。
しかし、BOφWY、レベッカ、THE BLUE HEARTSあたりが成功した頃から状況が変わった。商業的にも成功するロックバンドたちが、日本にも現れたのだ。彼らは、かつてのバンドたちに見られた洋楽に対するコンプレックスも気負いもなく、あっけらかんと日本語で歌い、ヒットを飛ばしテレビにも出た。そうなると、言葉も今イチ分からず、生の姿を見たくても、来日公演を待たねばならない欧米のバンドより、若いファンたちが日本のロックバンドに流れていくのは当然のことだ。しかも、そのクォリティは、欧米のバンドと比較しても、決して劣ることはなかったし。こうして、80年代後半以降の日本の音楽シーンは、ロックバンドが席捲する事になるのである。
と、こういう事まで分かってしまうランキングなのでした(笑)