Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(123)

2018-07-06 14:10:45 | 日記

 「母さん、何食べたの?」

僕もそれにしようと彼は言います。この場合、外食に出た場合ですが、父が何時も母に上等な物を食べさせる事を彼は熟知していました。流石に2人の息子です。何時如何なる時にでも、万事母に合わせておきさえすれば良い、そうすれば相当によいものが食べられる。この事を彼は過去の経験から学んでいたのです。

 「ご主人、素うどん1つ。」

息子の言葉を聞いた父が、お店の主人に声を掛けました。ヘイ!毎度と、小気味よい返事をして、店主はすぐに厨房に入って行きました。ふわんと、店内にうどん出汁の良い香りが立ち込めて来ます。グーッと彼のお腹が鳴りました。

「母さん、素うどん食べたの?」

がっかりした顔で、母の注文の品を確認する息子の声に、母はへぇと気の抜けた言葉を返します。

 彼女は何だか酷く老け込んだ様子になっていました。目が落ちくぼみその瞳は閉じられていました。一遍に十も二十も年を取った様子で、彼女の体からは魂が抜け出てしまった感じでした。彼女の顔は冴えない顔色で、虚無的な渋い表情が沈み込むと、その顔面に彼女の心中の煩悶を表していました。彼女は片方の肩をだらりと下げて、如何にも脱力感といった感じで椅子に座っていました。どう見てもピシッとした息子の態度とは裏腹で、捉え所が無く、クラゲの様に芯の全く無い様な体の緩み具合となっていました。

 この時の父の方はと言うと、緊張しているのでしょう、根を詰めた顔付きで声まで震えて来た息子の、その顔を興味深く悪戯っぽい瞳で見詰めると、興に乗ったまま口を半開きにして面白そうに眺めていました。そしてふと気づいて傍らの妻を眺め、その異常な様子に気付いて彼女の身を案じました。 


土筆(122)

2018-07-06 13:48:14 | 日記

 予想もしていなかった息子の謝辞を受けた父は、思わず「えっ」と、息を飲むような雰囲気で驚きの言葉を放ちました。

「お前、あの娘の事を気に入っているのかい?」

如何にも呆然とする父の顔とこの言葉に、息子は爽やかでにこやかな笑顔を向けると、「流石に俺の親だなと思ったんだよ。」と、「今迄、こうこれ!と思った相手に出会わなかった俺だよ、それが当の最初からすんなりと話しが出来て、何かと相性もよいと来たもんだ。何の気兼ねも無く気を張る事も無くだよ、この俺がだよ、ちゃんと仲良く話して付き合える相手だったんだよ。」と、年甲斐も無くピンクに頬を染めるのでした。

 『信じられない!』

この時、両親共に思った事を息子は毛ほども気付か無いのでした。

 彼は、それっきり目の前の両親が、神妙な顔で黙として無口な態度なのを、親の善行を謙遜している両親の徳のある態度だと受け止めるのでした。

 「如何したの、父さん達。僕は本当に心底喜んでいるんだ。」

これ以上の謙遜は子である俺に対してでも慇懃無礼な態度というものだよ、な、一緒に明るく笑顔で夕食でも食おうじゃないか。彼は両親の着いているテーブルの椅子に腰掛けると、両親の態度に合わせたつもりで改まった丁寧な言葉で言いました。

「僕は本当に喜んでいるんだから。さて、僕は未だなんだよ。」

と、目の前に並んだの2つの丼を見比べながら、何を食べようかなと考えます。2つの丼の柄は違っていました。蓋も1個しかテーブルには載っていませんでした。


特にないです

2018-07-06 13:42:48 | 日記

 今の所特に何もないので、これから出来るとよいなぁと思います。

 サラダ記念日、何となくあっさりとした爽やかな記念日に聞こえます。「サラダの国から来た娘」の歌を思い出します。青春時代が懐かしい記念日ですね。

 今からだと、空飛ぶ自動車に乗り、自分で運転が出来た日を、爽やかなフライト記念日にしたいと思います。