Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(145)

2018-07-30 10:19:15 | 日記

   「所で、此処は何処の世界なんだい?」

一頻の孫の思索が落ち着いた頃、祖父は光君に尋ねました。今、彼等が見回すこの世界は、どうやら元いた世界、蛍さんの家の近所、あの大きな施設の中にある広場のようです。

「そうだなぁ。」

光君は我に返って周囲を見回しました。

 「さっきの場所じゃないかな。」

彼は広場にある特徴的な柳の木を眺めながら言いました。「しかも、同時代みたいだ。」彼は見詰める木の様相から、時も全く同じ頃の年代だと判断したのでした。そこに有る柳の木に大した変化は無かったのです。それは前々回の世界にあった木と全くそっくりで、場所も大きさも枝ぶりも全くそのまま、前に見た時と完璧に同じ状態で広場に存在していました。

 『不思議だな、同じ年代の同じ場所にほぼ連続して移動したなんて…。』

光君は信じられない気持ちで呆然としてしまいました。

『こんな事初めてだ。』

そこで彼は、何事かを推し測るようにこの世界の大気を漫然と感じてみるのでした。彼は首を傾げました。

「じっちゃん、何だかこの世界おかしくないか?」

彼は傍らにいるはずの祖父に問いかけました。祖父はこの時、孫からやや離れ、広場の石碑の傍に立っていました。彼は石碑の下に掘られた幾つかの穴を見詰めていました。


土筆(144)

2018-07-30 10:07:01 | 日記

  「あんな人じゃなかったんだけどな…。」

光君が独り言を言う様に祖父に言いました。

「初めて会った時のあの人は、こう、にこやかで、人当たりが良くて、気のいい話の分かる、質のいい育ちの良い外国人、という感じだったんだ。で、僕の研究にも熱心に耳を傾けてくれて、興味を持って気軽に寄付してくれたんだよ。しかも当時としては結構多額に寄付してくれたんだ。それなのに…、どうしたんだろう?」彼は沈み込んでしまいました。

   また、彼はこうも言うのでした。

「あの森での場面には前にも出くわした事があって、今日と全く同じ成り行きになったんだよ。じっちゃんも一緒だったんだ。けど、覚えてないんだろう?問題だよなぁ。」

   否、じっちゃんがボケたと言う意味じゃないよ、何処かで交錯したんだ。入れ替わっているんだよ、じっちゃんと僕、僕達2人の組み合わせが何処かで別相手になってしまったんだ。でも、そう気にする程の事じゃ無いよ、こう世界を点々とした後考えてみるとね。光君は祖父の傍で、1人静かに物思いに沈んで行きました。祖父はそんな孫を横に、彼の思考の邪魔にならぬよう沈黙を守るのでした。

 「初めの時は勢いに飲まれて、流石に余裕が無かったけれど、2度目ともなると気付く事もあるさ。」

彼は唇を噛み締めて、忌々しそうに拳を握り振り回しました。いったい何が起こったというのだろう?、僕がこの発見をしてからあの人がああなるまでの間の事だよ。僕はあの人達の国に、又は世界に、何か特別な酷い事をしたんだろうか?

「私達の世界、か。」

今現在、反社会的な何か、そんな大それた事を仕出かす気持ちなど更々無い彼には、全く思いも寄らない未来予想図なのでした。


残務整理と新しい事への準備

2018-07-30 09:24:18 | 日記

 7月は今までの仕事の残務整理です。8月は新しい事への準備になるでしょう。まだまだ出来る事はありそうです。あれこれと考慮中です。

 心配なのが母の事です。お盆の墓参りもままならぬ様です。外出が出来ないのではどんな行事も組めません。でも、室内で静かにしていた方が、高齢者にはより良いのかもしれませんね。変化や刺激は良くないのかもしれません、専門家にお任せした方が良いのでしょうね。