Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダンスは愉し 5

2019-01-17 10:16:34 | 日記

 鈴舞さんの日舞の見学1日目は、この様な感じで終了しました。これ以外に特に師匠のご機嫌を損ねるという様な事も無く、友達の稽古にお叱りも無く、何しろ皆習い始めて日が浅く、練習時間もそう長く無く終了したので、全ては滞りなく済んだのでした。「今の所を家で練習するように。」と、初心者の弟子達に申し付けると師匠は鈴舞さんに顔を向け、

「まぁ、あんたも習う気が有るからここへ来たんだろうからね、」

そう言って、もう2回くらいは通ってみるかいと、家の人に聞いてからだねとにっこり笑って微笑むのでした。

 「日舞を習いたい。」

早速家に帰った鈴舞さんは母にせがむのでした。にちぶ?要領を得ない母に、踊りだよ踊り、日本の踊りだよって、皆が言っていたと彼女が言うと、母は、ああと、日本舞踊だねと笑い。あんなものに興味があるのかと、へええと妙な顔付をして娘を見ると笑うのでした。

「ま、お父さんやお義母さんに聞いてからよ。」

と、母は言いましたが、多分習ってよいだろうと鈴舞さんに快諾の返事をするのでした。

 が、事はそううまく行かず、結果から言うと鈴舞さんは日舞を習う事が出来なかったのでした。父の反対があったのか、祖母の反対があったのか、鈴舞さんには不明でしたが、母から彼女の希望を聞いた祖母はええと言葉も無く呆れ返った声で

「お前さん、娘を芸妓にでもしたいのかい。」

と嫁を諭したのでした。


ダンスは愉し 4

2019-01-17 09:28:02 | 日記

 先に来ていた子達は鈴舞さんの同年代の子達よりは2、3歳年が上になるようでした。小さい子といっても背丈や体つきが確りしています。師匠が何か言うと、舞台で所作を習う子と、廊下でそれを座りながら見ている子との2手に分かれるました。師匠は弟子の女性に舞台の指導を任せ、廊下に降りるとテープレコーダーの前に座り、楽曲のテープをキュルキュルと巻き戻して曲を再生する為にスイッチを捻りました。鈴舞さん達新参者は、稽古中の先達からやや離れると、階段近くの板の間にちょこんと並んで正座して座りました。鈴舞さんも友達に教えられて一番左に並びました。

 鈴舞さんには馴染みのない曲と歌声が始まりました。彼女と共に来た同い年の弟子の子の1人が笑顔で嬉しそうに何々だと曲名と踊りを言い当てると、おやという感じで師匠は笑顔をその子に向け、よく知っていたね等愛想などして、如何にも嬉しそうに弟子の年少の子達に笑みをこぼして見せました。

 『綺麗な女の人』

鈴舞さんはこの時、師匠の顔を正面から見て思いました。並んだ子達は曲を言い当てた年少の子に顔を向ける子もいれば、無関心で知らん顔をしている子もいました。顔を向けた子は羨ましそうにその子を見やったり、または妬ましそうな表情を浮かべて覗い見たりと、それぞれがそれぞれに十人十色の風情で並んでいました。

 鈴舞さんは初めてやって来た日舞の稽古場に、物珍しさと興味を持ってしげしげと眺めると言いました。

「家の柱より小さい柱だね、小さなお部屋だね。」「家より綺麗だね。」

低い天井や、細い柱、使われている樹木の光沢について屈託なく述べた彼女の感想に、連れの子達は肩をすぼめて冷っとした感じになりました。鈴舞さんのすぐ横の子はしかめっ面を彼女に向けました。ここでそんな事を言っちゃいけないのよ、そう彼女に言うと、静かに前の人の踊りを見ているのよと注意しました。 


今日の思い出を振り返ってみる

2019-01-17 09:25:06 | 日記

 

 
傘の思い出2
 日本の首都である東京という都会へ私が出て来たのは、離婚したという理由もありましたが、父から再三家を出てくれと言われた事が主となる原因でした。どうせ家を出るなら、子供が肩身の狭い思......
 

 「傘の思い出」の続編です。昨年は1日に2話目まで書いたようですが、書き出しの方のこちらをを持ってきました。