「お前休暇を取っていないんだって。」
休暇が溜まっているとドクター・マルが苦情を言って来たよ。早急に溜まった休暇を消化してリフレッシュして来てくれ。
「休暇先は君の故郷の祖父宅にして置いたからね。」
何時もながらに手早く勝手なチルの采配なのでした。しかし今回も粋な計らいというところです。
「えっ!、祖父の?」
故郷に帰る⁉ミルは驚きました。そんなミルの後の言葉を待たずにチルは続けました。
「休暇は明日からだ。」
が、急げばこの後の連絡船ですぐに故郷の星へ発つことが出来る。にこやかにそう告げるチルに、
「そうですね、ありがとうございます。」
ミルは呆気にとられながらも嬉しさを満面に表し、心からの喜びの声を上げました。その後のミルは副長と話す間ももどかしく感じると、では、と暇乞いをしてそのまま、パタパタと足早に自室へと飛び込みました。
そうだ、留守中の事は如何しよう。ミルは素早く手を動かし荷造りしながら、ふいと頭に紫苑さんの事を浮かべました。副長に頼んでおこうか、如何しようと考えている所へドクター・マルがやって来ました。
やぁ、ドクター。お陰様で…。ミルは休暇が取れる礼を述べ、早速この後すぐに出る船で帰郷する旨をにこやかに伝えながら、地球人の1人の男性について、彼の心配事を相談するのでした。