故郷のエアポートに降り立つと、ミルの旧友2人が彼を出迎えてくれたので彼は驚いてしまいました。
「如何したんだい。」
何故帰郷してくるのが分かったのだろうとミルは思いました。
「いやぁ、お祖父さんから頼まれたんだよ。」
やや慎重な感じで微笑む2人に、ミルは悪い予感を覚えました。祖父に何かあったのではないかと思ったのです。すかさず彼は友人達に尋ねました。
「お祖父ちゃんに何かあったのかい?。」
うんまぁ、一寸と、と言葉を濁す出迎えの2人に、不安を募らせたミルでした。
「そう心配する事は無いと思うけど。」
「お年でしょう、お祖父さん。」
と静かに微笑みながら2人は説明しました。2人の話では、彼の祖父はこの星独特の病、老人に特有の症状が出ているという事でした。祖父は寝たり起きたりの生活で無理をしない方が良いという主治医の話で、近所に住むこの2人が祖父の主治医経由で彼の祖父から出迎えを頼まれて来た事を説明しました。
「まぁ、今すぐ如何という状態では無いらしいから。」
詳しくはお医者様に聞いてくれという友人の1人に、ミルはそうするよと平静に答えながら内心は可なり動揺していました。祖父宅に送ってくれた友人達に、彼はお世話になったねとお礼を言うと家の玄関を潜りました。あんなに会いたかった祖父ですが、ミルは祖父の顔を見るのが躊躇われてきます。沈んだ気持と共に彼の足取りは次第に重くなって行くのでした。