Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

親交 33

2019-04-12 20:45:43 | 日記

 「大丈夫ですか?」

2、3日して、紫苑さんの家に電話が掛かって来ました。これは、約束していた日に紫苑さんが図書館に現れず、紫苑さんの電話を取ったからという司書の人から、紫苑さんが風邪を引いて来れなくなった旨伝言された事を聞き、その事を心配して電話して来た鷹雄ことミルの電話でした。

「いやぁ、ははは、鬼の霍乱というやつでね。」

紫苑さんは言葉少なに電話の先の相手に告げました。

「心配する事はないよ。もう粗方いいんだが、念の為もう1日家で静かにしている事にしたんだ。」

来週は図書館に行けるだろう。そう言うと早々に、じゃあねと紫苑さんは電話を切ったのでした。

 ここでほうっと溜息を吐いた紫苑さんは、何だかまだ一向に元気がありませんでした。

『人間無理はする物じゃ無いな。』

紫苑さんは思いました。若い鷹雄君に付き合ってテキパキと動いたり、あれこれと頭を使うのは正直言うと彼にとってかなり負担になっていました。

 紫苑さんは電話に出る為起きたついでに台所に寄り、急須にこぽこぽと湯を注ぎ一杯のお茶を入れると、それを持って廊下に出ました。それからテレビのある居間に立ち寄ると、彼は静かに居間に置いてあるソファーに腰かけてお茶を啜りました。溜めてあった新聞を開くと、ここ2、3日の記事を読んでみます。彼は再びほうっと溜息を吐くと、「悲しくて悲しくて…。か。」と歌詞の文句を呟き、歌詞同様に虚ろな気分で何気なくテレビのスイッチを入れるのでした。

 


親交 32

2019-04-12 19:29:39 | 日記

 はてさて、何をどうしたものか…。紫苑さんは鷹雄君と食事を終えて、1人家に帰って来るとあれこれと思案していました。何とか鷹雄君の恋の力になってやれるといいがなぁ。こればっかりは縁だからなぁと、相手のいる話だから自分の力ではどうにもならないな。と考えるのでした。そこで彼は自分の時の事を思い出してみます。

 あの時はあの本の通りにうまく事が運んだんだが、あの本がこの現代でも役に立つものかどうか。紫苑さんには甚だ疑問に思われるのでした。そして『書物というものはいい物だなぁ。』と一人頬を染めるのでした。

 彼女と知り合って1月した頃、青年の紫苑さんはとある古本屋で或る本に出合いました。それは古本とはいってもそう汚れてはいない本でした。本はその題名から、当時の彼の心にしっくりとして強く訴える物がありました。そこで彼はその本を手に取ると、ページを捲り目次を読みました。そして目に留まった個所をこっそり開いて早々に読み始めました。

 ふぅむ…、そんな物なのかな、なるほど…。と、彼は合点すると、早速その本を古本屋の書棚に戻しました。彼は足早に古本屋を飛び出すと、直ぐにそのままその足で地域の図書館へとやって来ました。幸いな事に、震える手で彼が検索カードを調べると、同じ本が図書館の蔵書の中に存在していました。内心嬉しく思った彼は手早く書棚からその本を探し出して手に取ると、他にも数冊手近な本を取り出し、それらの本を一抱えにして閲覧室に直行しました。そこで彼は机に座り、山積みにした本の中から目的の1冊の本を取り出すと静かに読み始めました。

 「…あれは良かったなぁ。」

うんうん、実に役に立つ実用書だった。『あれほどの本はそうは無かった。』彼は今までの人生を振り返り感嘆するのでした。鷹夫君の場合にも役立ってくれるかもしれない。彼は遠い青春の日々を胸に蘇らせると明るく嬉しい気分になり、そしてまた静かにしみじみとした気分にもなり、やはり1人部屋で静かに塩垂れてしまうのでした。

『歳を取るという事は不甲斐無い物だなぁ。涙もろくなってしょうが無いものだ。』

そう心弱く思いながらも、彼は若い鷹雄君の喜ぶ顔を想像すると、自分が思いついた或る本について、早く彼に知らせたいと考え気が急くのでした。ここで彼は一寸自分の気持ちに無理をかけると、誰もいない部屋で青年の様に快活に微笑んで見せるのでした。 


今日の思い出を振り返ってみる

2019-04-12 19:28:33 | 日記
 
土筆(44)

 「私の手前そう言うんでしょう。」分かっているから、気にしなくていいのよ、と笑顔で言う従姉妹。するとご近所男の子は、聞こえるんじゃ無いか?あいつ聞いているんじゃないか?と、心配......
 


 遅くなりました。明日も忙しいので、遅くなると思います。