Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

親交 37

2019-04-16 20:49:32 | 日記

 「どうだった?、それで彼は元気そうだったかい?。」

副長のチルが船内に戻って来た鷹雄ことミルに声を掛けました。

「年齢的には君とどっこいどっこいなのかもしれないが、この星の住人はやわに出来ているからなぁ。」

栄養状態や医療水準が未だそうよく無いようだからね、関わり合うならこっちの方で気を回さないと駄目だ。向こうは何処でどんな状態になるかてんで分からないんだからね。チルは上官らしくミルに忠告しました。

「身体面や精神面等、お前なら彼の発する光を見て予想出来ただろう。」

これからはもう少し相手の健康に気を回すんだね。この星の住人と付き合うなら年齢じゃ無く、その見た目で判断した方がいいよ。

「見た目だよ、見た目。」

チルはミルに念を押すのでした。

 そうか、と、自室に戻ったミルは副長の言葉を噛みしめていました。確かに、彼が祖父との楽しい思い出を紫苑さんとの一時に重ね合わせていたのは事実でした。余りにも自分本位だったとミルは反省しました。これからは紫苑さんのオーラの変化に注意して、彼のペースに合わせたお付き合いにして行かなければと決意するのでした。

 『それにしても、副長は何でもよく調べてあるものだ。』彼は感心していました。部屋には地球上の病人介護や料理の本、その他交際の仕方、マナーなど、所謂現代常識を書いた本が一塊置かれていました。

「副長は何処でこれらの本を手に入れて来たんだろうか?」

ミルは改めてそれらの本を見詰めると少々げんなりして来ました。『こんな事だって、自分で興味を持って調べるならどんなに楽しい事だろうに。』如何にも人から催促されたように押し付けられたのでは、こっちだって少々嫌気が差すというものだ。あーあ。溜息を吐きながら、ミルは可なりご機嫌斜めの態で自分の寝所に突っ伏するのでした。 


親交 36

2019-04-16 20:28:15 | 日記

 そんな彼の内面の葛藤を察した鷹雄は、

「お元気そうで良かったです。でも、顔色がまだ冴えないようです。」

そう言うと、

「紫苑さん、まだ寝ておられた方が良いと思います。僕はこれで失礼します。」

そう言って今入って来た玄関戸口からあっさり外に出ると、

「ではお大事になさってください。よく休んでくださいね。」

こう言葉を残し、ガラガラと引き戸を閉めてその儘、引き戸に映った鷹雄の影はすうっと消えて行ってしまいました。

 玄関前から鷹雄の気配が無くなると、紫苑さんはほうっと息を吐き出しました。その儘どかりと家の登り口に腰を下ろして、彼は暫くぼんやりと曇りガラスの格子戸を眺めていました。ふと気付くと膝にナイロン袋を載せていました。『こんな重い物を何時までも…』そう自分の事を馬鹿にしながらそれを膝から外し、腰かけている横に置くと彼は袋を見詰めました。中に入っている食料品がぼんやりと透けて見えます。すると彼はそれら1つ1つに鷹雄の厚意を感じるのでした。

 ここでほのぼのと明るい思いが胸に湧いてくる紫苑さんです。彼は鷹雄が去った曇りガラスの引き戸を眺めました。戸の向こう側は明るい陽光です。お天気の良さが覗えます。

「外は変わらず良い気候のようだ。」

玄関の外の好天を感じ、明るい気分のまま立ち上がった紫苑さんは振り返って登り口を登り廊下に立ちました。彼は鷹雄の置いていった袋を手に取り家の奥へと進み始めました。そこには暗くひんやりとした廊下が続いています。彼はしんとした静けさに屋内の独り身の侘しさをしみじみと甦らせました。

「やはり鷹雄君の言う通りもう一眠りすることにしよう。」

そう呟いた彼は居間やや台所へは戻らずに、孝雄の袋を携えて彼の寝所へと戻って行きました。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-04-16 20:22:50 | 日記
 
土筆(49)

  さて、遊具の側に移った2人です。彼女は念入りに、あれこれと彼が話す話にじっくりと耳を傾けていました。彼が話す間、彼女の方は天を仰いでさも可笑しそうに声高かに笑ったかと思うと、時......
 


 類は類を以て集まる、です。似た者同士、気の合う同士ですね。