不満そうな声とは裏腹に嬉しそうなミルの笑顔を見詰める祖父の目にも涙がありました。
「いやぁ、皆がな。」
「お前にはその方がいいというものだから。サプライズパーティにしたんだよ。」
祖父は説明しました。
「私は家でな、近所のおばちゃん達を指図する役だったんだよ。」
お前の好きな料理を山ほど作ってもらったんだよ。ありがたいねぇ。そんな事を愉快に朗らかに話す祖父です。ミルの祖父はもうアルコールが入っているらしく、頬が染まりふらつき気味で少々ろれつが回らないのでした。
「困ったお祖父ちゃんだな。」
ミルはそんな祖父の様子を見るにつけても嬉しくなるのでした。『よかった何時ものお祖父ちゃんだ。』ミルは心底安堵の溜息を吐くのでした。それでも彼は確認の為、
「お祖父ちゃん、病気の方は?、本当に嘘だったのかい?」
お医者様は本当は何か言っているんじゃないの?と、祖父を案じる声を掛けるのを忘れませんでした。「大丈夫。大丈夫。」祖父は至って元気に答えました。「歳はとっても気は若い、さ。」そんな事を言うと、ははははは…。と高笑いしています。
「さぁ、お前も一緒に飲もう。」
彼は孫のミルを誘うと、幾つものアルコールの種類が並んだテーブルの傍へ彼を連れて行くのでした。お前も、もうイケる口になったんだろう、そう言うと彼は一番アルコール度数の強いお酒の入ったグラスを孫の為に手に取るのでした。