Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(30)

2018-03-27 09:52:25 | 日記

 「物事ゆっくり考え直せば、ほら分かって来ただろう。」という父から教わった言葉通りに、私は落ち着いて、落ち着いてと、繰り返し心の中で呟きます。そうして気持ちを落ち着けると、今までの事をもう1度思い返してみます。

 『分からない事は何でも分かる所まで戻って考えてみるのだ。』父の教え通りに、そうやって何度か繰り返し分かるところから分からない所へ差し掛かった転換点、その場面での辺りの人や物事、その言動などを、事情が理解できるまで繰り返し繰り返し思い返してみます。そうやって記憶を反芻しながら私はどのくらいそこで屈んで思い出しては考え込んでいたのでしょうか。

 「まだいたの。」

というお姉さんの声にハッとして振り返りました。そこには先程の場所と同じような場所にお姉さんが1人で立っていました。「もう此処にはいないと思っていたのに、こんな所によく今迄…」そう言って、笑顔だった彼女は一瞬私の後ろに誰かを見たようでギョッとして言葉を飲み込みました。私はそんな彼女の様子に直ぐに自分の後ろを振り返りましたが、後ろはおろか自分の周りには誰1人いないのでした。

 彼女は、「もしかすると本当に1人でいたの?こんな所に?」と如何にもびっくりしたように目を丸くしたのでした。私にすると彼女が姿を消してから、今声をかけて来た時間はほんの一瞬の間だと思っていました。こんなに彼女の驚く様子がまたまた不思議でした。それでこの日の私の不思議がまた1つ増した訳ですが、今回のこの不思議は彼女自身の出来事で、どうやら私の方は理解しなくてもよい不思議のようだと感じました。この日の私の不思議はもう飽和状態だったと言えるでしょう。私にとってこれ以上の不思議な出来事を増やしたくなかったというのが本音かもしれません。


土筆(29)

2018-03-26 14:35:11 | 日記

 「勝手に1人で何処にでも行っちゃだめよ。」

 お姉さん然として、私にこう注意した時の彼女の笑顔は、私より年上の彼女は私より何でも知っていて余裕があるのだ、というコンプレックスを私に抱かせました。私は今日湧いてきた疑問の数々の内どの答えも出せずに帰るということが癪にさわりました。それで、もう少しここで遊んでから帰ると彼女に返事をすると、私の返事を聞いた彼女はそれっきりで、再び帰宅を促す事はせずに、そうと言ってあっさり自分の兄の後を追って同じ方向に姿を消してしまいました。

 これは、今迄の彼女が何でも何時でも繰り返し私を誘っていた事を考えると、私にはかなり意外な出来事でした。それで私はこれもいつもと違う事だと思い、内心えっと、面喰いました。幾ら癪にさわったとはいえ、私も本当は1人で此処に残る気にはならなかったのでした。何時もの様に何度か彼女の声掛けがあれば、その2、3回目には私もすんなり帰宅するつもりでいました。しかし、こうなると意地でも口から出た言葉通りにここで1人で残り、少し時間を潰して帰る事になりそうです。如何しようか、何をして時間を潰そうか、そう考えていました。

 私は1人仕様が無いので、小道に屈んで今迄の事をおさらいしてみます。あっちの道からやって来て、あそこでお兄さんから土筆があると言われて此処まで歩いて来て、あそこで皆でしゃがんで、…こう考えて来ると、またその場に無い土筆の話まで辿り着きました。

 『今じゃない雪の解けた頃。』頃だから時だ、時は今じゃないのだ、と思い付きます。だから今は無い物なのだ。もう少し早くに来れば、有るのかな?もう遅いというからには遅いんだ。今の温かくなった時。今度のこれから暖かくなる時の始まった今は、もう遅くなって仕舞って、あそこに土筆はもう無いんだ。と、私には如何やら時期外れで土筆がそこにはもう生えていない、終わったのだという事が理解出来てきました。疑問が1つスッキリすると気分が明るくなってきました。


土筆(28)

2018-03-26 12:09:19 | 日記

 彼女のお兄さんから土筆の話を聞いてから、私にしてみると妙な話ばかりが続いています。何が何だか本当に分からなくなり、分からなくなるのが当たり前の状況に追い込まれていると思うと、つくづく今日は変で不思議な日だと思います。もやもやした物を胸に感じ取り、スッキリしない私は漠然とした不安やプレッシャーに見舞われるのでした。

 『何とかこの出来事を理解しなければ…。』しなければ、…私は馬鹿だと思われる。そう思うと私はもうパニックになる寸前でした。私は日頃父から、こんな事も分からないのか、分からない者は馬鹿だ、馬鹿なままでいいのか、馬鹿は誰にも相手にされない、世の中に馬鹿程人に嫌われるものはない。馬鹿は家に置いておけない。そんな馬鹿は母の実家に引き取ってもらえ云々、とまで言われ、日常の学習について厳しく躾けられていました。教えている物事が分からないと歯がゆがられ、叱りつけられて来たので、私はこれまでそれなりに様々な言葉や物事を必死で覚え、またそれらは必ず覚え理解するものだという態度を身に着けさせられていました。それが今日は自分の中のどの知識を総動員して来てもさっぱり理解できない事ばかりです。早く理解しなければと思うと、胸には焦燥感が広がるのでした。

 暗澹とした気持ちでその場に立ち竦んだまま、見るともなしに施設に並んだ石造りの物体群を眺めていた私は、ふとここから動けば何か分かるかもしれないと思いました。その時のインスピレーションは、訳の分からないこの地点から脱出しようとしただけの事だったのかもしれません。また、この時以前に、親から歩けば何か名案が浮かぶ、と教わっていたのかもしれません。兎に角移動しようとして迷う内に、私は左右へ動くより前進を選ぶとゆるゆると前に向かって歩み出しました。

 「何処行くの?」

お姉さんが私の名前を呼んで呼び止めました。もう帰ろう、皆どこかに行ってしまったし、と彼女は私に帰宅を促しました。そこで私が振り返ると、今しがたの彼女の病的な顔はもう何時もと同じく明るくて親しみやすい笑顔に戻っていました。


暖かい所

2018-03-26 11:59:26 | 日記

 家庭を持ってから、今まで5回引っ越しました。行って帰ってという往復も加わっています。いつも同じ引っ越し屋さんでしたから、アンケートプレゼントも1度貰っています。(笑い)

 さて、住んで良かったのは都内です。便利でした。人も多いので割合何をしていても無頓着で気にされないという自由がありました。雪国から行くと、冬暖かく夏涼しいというメリットもあります。都内では8月に入ってから涼しさを感じ始めます。湿気が無いからっとした夏の涼しさです。冬も、太陽が出ると、2月はもうコート無しで歩けることに驚いていました。今ももう桜が満開ですね。こちらはまだ枯れ木状態です。 

 という事で、東京かというとこれは大都市の地震が心配です。都内から少し離れて、関東地方、四国も暮らしやすい気候の場所と聞いています。大雑把に言うと太平洋側に住みたいですね。富士山が望める場所も魅力です。そうすると静岡県辺りでしょうか。


3月

2018-03-24 14:40:58 | 日記

 3月になり、寒気が緩んでくるといよいよ春が来るなぁと感じます。ひな祭りの頃ですね。それでもこちらはまだこの頃は雪の降る日が来る事もある時期です。ただ、桜餅や雛菓子など眺めると、やはり今年の冬も過ぎたなぁと感じる事は感じます。

 その後、しみじみと本格的な春の訪れを感じるのはもっと先の事です。春本番の花見の頃です。この頃になると日中のぽかぽか陽気に、春本番の温もり、新しいシーズンの巡り来た春の季節のありがたさを感じます。満開の桜を見て日差しのありがたさを満喫します。日本人ですね。