Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(201)

2018-09-20 09:40:08 | 日記

 「俺の一族はこの世の中の事をきちんと把握しているのさ、ちゃんと達観しているんだ。」

と彼は笑みを浮かべて言うのでした。茜さんはそんな蜻蛉君の自慢気で誇らしい様子に気付くと、首を垂れてもう1、2歩彼のすぐ真横へとにじり寄り、ぴたりと体の側面を彼の真横にくっ付けました。そしてぽそぽそと

「その除念とか言うのを、もう少し詳しく教えてもらえないかしら。」

彼女は益々興味深々で、彼に物をねだる様な調子で頼み込むのでした。

 本当に蜻蛉君が祟りの良い解消方法を知っているのかどうか、除念という物が本当にこの世の中に存在するのかどうか、この時にも彼女はまだはっきりとした確証は持てなかったのですが、彼のこれだけの余裕のある態度を見せつけられると、この話が本当にまんざら嘘では無くて、確かに何かしらの祟り等、怒る相手の怨念を上手く振り払える方法が有るのだろうと感じられるのです。彼女はどうしても真実を知りたくてたまらないのでした。

 蜻蛉君はそんな物欲しそうな茜さんの顔ををちらりと見ると、ふふんとばかりに笑いました。そして、

「信じる?この話を信用するのかい?この俺を?」

と声を掛けました。こくりと茜さんは彼の眼を見てここぞとばかりに頷きました。そして思わずごくりと唾を飲み込みました。『そんな方法が本当にあるんだ⁉』この時、彼の眼を覗き込んだ茜さんはそう確信しました。「信じるわ。」

 「教えてよ、ねっ、私とあんたの仲じゃないの。」

茜さんは熱心に彼に頼み込みました。如何しようかな…、そんな言葉を迷うような相手を焦らすような感じで言うと、彼は「本当に除念って言う物がこの世にはあるんだ。」と打ち明けました。

 茜は聞いた事無かったのか、除念という言葉。ま、大抵の奴は知らないけどな、除念なんて言葉。そんな風に除念の言葉を口にする度に、彼はいかにもこの世の中の事は達観した、物事大した事は無いと言わんばかりに、段々と態度も大きくなって行くのでした。


土筆(200)

2018-09-19 10:52:23 | 日記

 茜さんはそんな蜻蛉君の態度に気付くと、彼の傍に寄り、並んでしゃがみ込みました。

「ねっ、あんた、何かいい方法を知っているのね。」

こんな時どうしたらいいか、何かいい方法を知ってるんじゃないの?と、彼女は小声で興味深々、彼に声を掛けたのでした。

 蜻蛉君が祟りの良い解消法を知っているのかどうか、この時の茜さんにははっきりとした事は分かりませんでした。が、彼の余裕のある態度を見て取ると、何かしら上手く人の怨念、祟り等、憤る相手の念の力を振り払う方法が有るのでは無いか、と感じ取ったのでした。

 蜻蛉君は茜さんをちらりと見るとふふんとばかりに笑いました。そして、「分かった?」と声を掛けました。ごくりと茜さんは唾を飲み込みました。『そんな方法があるんだ⁉』、彼女は思わず彼に頼み込みました。

 「教えてよ、ねっ、私とあんたの仲じゃないの。」

茜さんは彼の肩に手を掛けました。これに対して蜻蛉君は、「駄目だよ、でも、如何しようかな、…だけどなぁ、」と、そんな思わせぶりな事をくちゃくちゃ口の中で言っていましたが、除念、…

「除念って言うのがこの世にはあるのさ。」

と、遂に彼は彼女にこの言葉を教えるのでした。

 「聞いた事無いか、除念だぜ。」

この言葉を口にすると、彼は顔を青い空に向かって高く掲げ、如何にも得意気で満足そうな雰囲気に変わりました。


土筆(199)

2018-09-18 10:49:49 | 日記

 「止めてくれって言ってるだろ!」

それは茜の親戚や、身内の中だけの話しなんだろう、親戚同士だけの事なんだろう。それだけの事なんだろう。蜻蛉君はもううんざりだと言わんばかりに振り返ると、茜さんをしかめっ面で見詰めました。

「…ならまだいいじゃないか。」

ぽそりとした言い方でした。

 彼は一呼吸置くと、こっちは聞きたくないって言ってるんだよ。と、さも自分で自分の気持ちを落ち着けるように普段に近い声で低く呟きました。そして、再び彼女に背を向けると俯いて、もうそんな話言わなくていいからなと命令口調で言うのでした。

「こっちはそんな話なんか山ほど聞いて知ってるんだ、しかも身内だけの事じゃ無いんだ。…飽き飽きだよ、もう聞き飽きているんだ、うんざりだよ。」

ここで彼は暫し沈黙するのでした。もう少し気持ちを落ち着けたかったのでしょう。そして、

「祟られたなら祟られたでいいじゃないか。」

「そうなったらそうなったで、どうするか考えるまでの事だよ。」

と、さも怖がっている割には妙に場慣れした言い方をするのでした。そしてその後、彼はぐいっと身を起こしてピンと背筋を伸ばしました。幼くてもどっしりと座って構えた彼は、何やら余裕のような物さえ感じさせるのでした。


土筆(198)

2018-09-17 11:10:18 | 日記

 だから、本とにあの子に自分や他人のした事を押し付けると、本人は勿論、こうもの凄く怒ってね、こっちが後から冗談だって言っても全然受け付けなくて、それであの子は泣くわ喚くわで大騒ぎだし、こっちはこっちでその場で収まらなくなっててね、その後が怖いのよ。こう、雷とか、怪我とか、伯父さんの家なんて庭の木に雷が落ちてね、人に怪我は無かったけど、こんな事今までなかったって、伯父さんなんて青くなって震え上がってて、あの時は相当怖じ気づいてたもの。

 ちゃんと先に伯父さんには言ってあったのに、伯父さん全然信じなくて、今のあんたと同じよ、偶然だとか冗談だとか言って、伯父さん止せばいいのに、ふざけて、自分で湯飲み茶椀を転がしてお茶をこぼして置いて、あの子に「これはあんたがやったんだ!」って思いっ切り叱りつけたんだって、兄の話ではね、私が行った時にはもうあの子泣いてたもの。伯父さんあの子の事そのままにして帰って、家に丁度帰ったとこだったんだって、雷が落ちた時。

 伯父さんあの時本とに雷みたいな声であの子を叱ってたわ。あの子わんわん泣きながら自分じゃ無いって言ってて、「謝らない子は悪い子だ、閻魔様に舌を抜かれるんだぞ!」って言われて、伯父さんのその閻魔様みたいな勢いに、あの子言い訳しそうになりながら出来ないらしくて口籠ってたわ、伯父さん「お前の言うことなんか聞かん、嘘を言うな!」って言ったのよ。そしてそのまま帰って行ったら、そうしたら本との雷が、伯父さんが家に入った途端、こうドンピシャだったんだって。ガラガラ、ドカーン!って、落ちたんだって。うわーって、びっくりだったって、耳がこう、痛いというか目が眩むというか、嘘かもしれないけど、伯父さんその時怒った顔の閻魔様の顔まで目の前に見えたって言うのよ、しばらく口が利けなかったんだって、伯父さん。

 それで、伯父さん、肝がこう相当縮んだって言ってたわ。これで寿命も相当縮んだだろうって。当時の伯父さんは本とに青い顔しててね、とんぼ返りっていうか、私達の家にまた直ぐに戻って来てね、うわー、何とかしてくれーって言うのよ。こう何時も朗らかで赤い顔してる伯父さんが、あんなに酷い青い顔色で、物凄く弱ったような困った顔になったのは、私あの時初めて見たわ。


衣類とバッグ

2018-09-17 10:36:16 | 日記

 何にしようか迷いましたが、決めていた物で適当な欲しい商品が見当たらなかったので、無難な衣類にしました。後は赤飯かケーキを添えて訪ねて行こうと思います。

 以前から、インターネットでプレゼント予約しようか、注文しておこうかと考えたりしていましたが、ケーキぐらいで良いのではないかと考え、インターネットでのショッピングはしないで過ぎてしまいました。

 プレゼントは本当にぎりぎりの昨日購入して来たばかりです。バッグの方は、今持っている物がかなり老朽化していたので、新しい物をと、軽そうで小さな手持ちバッグにしました。歩く時ならショルダーが良いのですが、今は膝に乗せるか、何処かに吊るすか、ポケットに入れるかなので、簡単にハンカチとティッシュが入るくらいのバッグで十分だろうと思ったのです。付き添いが財布など持って行くので、大きなバッグは特に必要なさそうです。

 パジャマなども考えたのですが、直ぐに寒くなるかなと思うと、まだ厚手のパジャマは店頭に無く(売り切れていたのかもしれません)、時期が早いようでした。母が欲しがっていた赤いベレー帽なども見てみましたが、思うようなこれと決める要素に欠けていて、もっと朱色とか、もっと明るい色でとか、可なり迷いました。が、結局プレゼントは普段仕様の衣類に落ち着きました。

 今年は無難に、今から着られる物に決めました。