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Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

今日の思い出を振り返ってみる

2020-12-12 17:50:30 | 日記

うの華 120

 「お祖父ちゃんは?、出かけないの?。」座敷に1人残った祖父に私が言葉を掛けると、「私が、嫌だよ。」と祖父は言った。母さんに任せておけばいいんだ。元々は母さんが見ていて......

    雨の土曜日。曇り空になる合間を見て、冬用タイヤに交換する人が多い週末でしょう。来週、雪マークの着いた天気予報ですから。
    午後、買い物に出かけ、少し食料品を買って来ました。年末の用品も出回って、少しずつ買いながら新年の準備です。😊

うの華3 89

2020-12-11 06:13:48 | 日記
 「触っちゃダメだ!。」

と透かさず祖父の大きな声。ハッとした顔で私の従兄弟は宙へと視線を泳がせた。そうしてパッ!と手を開き、私の腕を離した。従兄弟は緊張して身構え、思わずその身が固くなった様子だった。祖父の姿を後方に、私の目の前で視線を宙に浮かせた儘、従兄弟は自分の耳に全神経を集中させている様子だ。

 「亡者に触れてはならん。」

祖父がこう口にすると、はっとして従兄弟の視線が定まり、それは私の顔へと注がれた。今迄ごく普通、生真面目な顔付きだった従兄弟の目の中に、急に猜疑と恐れの色が浮かんだ。そうしてジロジロと私の目を見詰めて来る。それは何事か探る様な気配だった。私は思わず、「なあに?」と尋ねてみる。

 従兄弟はそんな私に何か言おうと口を開けた。が、そこでまた祖父が声を掛けて来た。「霊と口を聞くんじゃ無い」と言う。祖父にしては珍しくキッパリとした命令口調だった。私は、今迄この様な祖父の呼び掛けを家で聞いた事が無かった。おやっと思う。私達孫と祖父の間の距離が急に遠ざかった気がした。私が見ると従兄弟は見事に萎縮して、おどおどとした目付きに変わっていた。私はあっけに取られ、そんな従兄弟の顔をポカンとして見詰めた。

 すると祖父の方は、こっちへおいでと、これは私の目の前の従兄弟にだけだろうと私は感じたが、こちらに向けてまた声を掛けて来た。この声に、日頃向こうの家族の声には従順な従兄弟の事、直ぐに私達の祖父の命令に従うのだろう、こう思っていた私の予想を裏切って、この時従兄弟の方は一切動きを見せなかった。如何したんだろう?、私は思った。

 「如何したの?。」

私は座敷にいる祖父に聞こえない様そうっと小声で尋ねてみる。すると従兄弟は今行きたく無いのだと答えた。

「今行くと何か言いつけられるんだ。」

あんな声で呼ばれると、そうなのだと言う。そうなんだ。と私は徐に、ごく自然に相槌を打った。それに、それにと、従兄弟は言い淀んだ。「それに?」、私はそんな従兄弟に尋ねた。

 「お願い事があるんだ。」

漸くの事で、思い切った様子で頷いた後、やっとこう口を開いて従兄弟は私に言った。この時私は、そのお願い事というのは祖父に対しての物だと感じた。それなら尚の事早く向こうへ行って、祖父にそうだと言えば良いのにと思った。

 おねだりかしら。それで言い出し難くって、ここでおろおろと躊躇して、従兄弟は手を小招いているのだろう。『遠慮者だなぁ』、可笑しくなった私はふふっと笑った。祖父とは、同居しているという気安さがあった私である。従兄弟と私は同じく彼の孫同士だが、従兄弟の方は他所に家が有り、そこで普段住んでいるだけに、私達の祖父に対しては遠慮があるんだと、私はこう考えてこの従兄弟に不憫な物を感じた。そこで私は、自分だったら遠慮等しない、私達は同じく彼の孫に変わりはないのだからと、従兄弟に率直になり、勇気を出して、直ぐに彼におねだりに行くべきだと勧めた。

「お祖父ちゃんに?。」

私の言葉を聞いていた従兄弟は不思議そうな顔をした。自分は特に祖父に願い事は無いと言うのだ。では、何をそんなに迷っているのだろう、その疑問を私は尋ねてみた。

「お願いをしたいのは智ちゃんにだよ。」

私に⁉︎、これは意外だ!、私は驚いた。何故私に?。

 実はこの従兄弟は、私の父の直ぐ上の兄、同町内に住む三郎伯父の家の子供の1人だった。私より一つ上であり、私とは最も年が近かった。彼ら従兄弟達の間でも私とは1番仲が良かった。私より年上の従兄弟が?、年下の私に頼み事とは。私は何だろうと不思議に思うと同時に、その願い事の内容という物には全く想像だに及ばなかった。年下の私に?、一体全体従兄弟の願いを叶えるという事が出来る物なのだろうか。甚だ疑問に感じて私は目をパチクリとした。正に狐につままれたような気分となった。

 と、チョン!、チョンチョン。拍子木が鳴った。もちろん鳴らしたのは祖父だ。もう仕舞いにしなさい。私には彼がそう言っている様に聞こえた。

「拍子木だ!」

なぁに、如何したの、と、目の前の従兄弟も先程の私同様に、如何にも興味を惹かれた様子で目を輝かせた。そんな従兄弟の浮き立つ様な様子に、座敷からそれを眺め、従兄弟の気配を読んだ祖父はほくそ笑んだ。チョンチョンと、如何にも楽しそうな音色で拍子木の音を響かせて来た。

「ちょ、ちょっと、」

従兄弟は私に向けて言い出し、ソワソワ座敷の方向へ背伸びなどし始めると、間なく、次に響いて来た音に釣られて、行って来るねと透かさずこの場を後にした。それは何かに驚いた鳥がその場を飛び立つばかりの素早さだった。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-12-11 06:00:29 | 日記

うの華 119

 私は祖母が言葉を止めて急にちらりと階段を見上げたので何事だろうと思った。「お義母さん。」今度は私にも声が聞こえ、その言葉の意味と声の主が分かった。 私の母の声だ。母は......

 夜明け前、未だ暗い今朝です。日の出の時刻が遅くなりました。もう少ししたら朝食にしようと思います。
 さて、来週は雪マークのついた天気予報です。いよいよ冬本番かと溜息です。今年は例年並みという予想、こちらは雪国だけに雪が多そうです。体調は良く無いので、雪掻きはそうできないだろうと思うと、ポツポツですね。積雪量が多い時は埋もれているでしょう。今年の冬は行き当たりばったりです。

うの華3 88

2020-12-10 11:53:15 | 日記
 チョン、チョン、チョンチョンチョンチョン、チョン!…

うーん、五月蝿いなぁ、人が寝てるのに…。うーん。…チョンチョン…、音は続く。

 遠くから小さく聞こえて来るあの音は、木の音?、かな。チョン…、そうだ木を打ち合わせる音だ!。あれは、ころっとした小さな角材、下に紐が付いている。角が丸くなった二本の棒。その音を出す物が、形を取って脳裏に浮かぶと、私は、『そうだ、あの音、あれは拍子木を打ち合わせる音だ!。』と気付いた。音の正体をそれと認識すると、霞がかっていた私の意識はハッキリとした。音は闇の向こうに聞こえる。

 それにしても暗い。この目の前に広がる黒い闇は?、…そうか、黒い幕なのだ!。とすると、ここは宴会場だ。私は事を独り合点した。宴会場の前に在る舞台が今から始まるのだ。『早く目を覚まして会場の前に見物に行かないと。』私は気が早った。

 「早く早く、目を覚まして、智ちゃん、お芝居が始まるよ!。」

「お芝居面白いんだよ。見逃すなんて手は無いよ。」

そんな事したらとんだお馬鹿というもんだよ、等。過去に町内の催事で皆で出掛けた温泉での事、宴会場で行われていた愉快なお芝居の舞台は、私の脳裏に未だ鮮明だった。そこには母や伯母、先達の従兄弟達がいた。未だ場に物慣れない私は、皆に盛んに観劇を薦める声を掛けられたのだ。当時湯疲れして寝込んでいた私に、起きろ起きろ、見逃すよ。面白いのに、見ないのかいと、その時私が聞いた皆の声が、私の耳に蘇った様に響いて来た。

 そうだ、起きなくちゃ!、私はハッとして目を開いた。だが、また直ぐに睡魔に襲われる。私の瞼はちょんと落ちた。チョンチョン、拍子木の音が、今度はハッキリと近い場所から私の耳に響いて来る。これは、今度こそ早く起きなければ、と、私は面白いお芝居を見逃したくないと気が早る。その時に見た芝居の滑稽な場面が目の前に思い浮かんだ。『早く早く、起きるんだ!。』、この時の私は、目覚めへの抵抗感を感じながらも、よいせとばかりに自分の重い瞼を持ち上げた。

 私は首を上げて、次に目を擦り、宴会場へ行くのだと身を起こした。私はぼんやりする頭でねぼけ眼だった。よろけながら急いで立ち上がると、拍子木の音のする辺り、そちらの方向を向いた。そこは温泉の宴会場…⁉︎、では無く、では無い?。あれ?、私はキョロキョロと辺りを見回した。ここは、家だ!。そう、そこは私の家だったのだ。

 何だろう、私は合点がいかずその場に佇むと考え込んだ。温泉は気候の良い頃、暑い季節の頃行ったのだ。今は?、それらしい気候の時期だな。でも、ここは温泉とは違う。如何見ても私の家だ。

 チョン、チョン。拍子木だ。音は?、座敷から聞こえて来る。私は慌てて座敷に向かった。家の座敷でお芝居が有るのだろうか?、私は半信半疑だった。

 座敷の入り口に立つと、部屋の入り口付近、押し入れの中に設置された仏壇の前、何時も閉ざされている襖が大きく引かれている前で、座布団の上に祖父が座っていた。

 チョン。祖父の手元から音がした。見ると彼の両手には、大人が使うには小さ過ぎる使い込まれた様子の古い拍子木が1組握られていた。もちろん紐で繋がれている1組だ。彼はそれを仏壇に両手を合わせる様な要領で打ち鳴らしているらしいのだ。

 チョンチョン、『ほら、やはり私の祖父が打ち鳴らしている。』、私は思った。やはりここは私の家だ。あんな可愛い拍子木が家にあったなんて、私は今の今迄ついぞ知らなかった。面白そうに私はその祖父の手にある小さな拍子木を見詰めた。『私も打ってみたいな。』。

 そこで私は、祖父の側に徐に歩いて行った。いつも敏感な筈の祖父だが一向に私には気付かない。彼の直ぐ真横に並んでさえ、全く彼は気付いた気配がなかった。私はお祖父ちゃんと声を掛けた。それでも彼は微動だにしなかった。じいっと、一心に仏壇の中を見詰めている。私はそんな祖父の肩に手を掛けた。

 私は祖父の肩をそうっと揺すってみた。次に、お祖父ちゃんと声を掛けた。だが、祖父は動じる気配がない。私の目に、彼に変化は全く見られなかった。『お祖父ちゃん、冷たいじゃ無いか。』、私は思った。

 さて、座敷でむくれた私は、不快に感じながら元の階段の部屋に戻って来た。そこでパッタリと、そこにいた私の従兄弟の1人に出会った。「おや、来ていたの?。」と聞くと、その子は目を丸くして私に言った。

「智ちゃん生きていたの」

と言うのだ。私は面食らった。縁起でも無い。

 仏間の祖父といい、目の前の従兄弟といい、何だというのだと、私は怒りを通り越して不可解に思った。

「生きているに決まっているじゃ無いか。ほらこの通り。」

と私は言った。そうだよね、と従兄弟。変だなぁ、智ちゃんのお母さんが内に来て…。従兄弟はそう言いかけて、仏間にいる祖父に気付くとそちらに視線をやり口を閉じた。

 「おう、お前来たのか。」

祖父の声が聞こえて来た。こっちへおいでと従兄弟を呼ぶ様子だ。従兄弟はうんと、智ちゃんも行こうと私の腕を取った。

今日の思い出を振り返ってみる

2020-12-10 11:29:02 | 日記

うの華 118

 私が不思議そうに部屋の中を見回していると、祖母はそんな私に何をしているのだと問い掛けて来る。「お父さんを打った人がいるかと思って…。」私が答えると、祖母はふんとばかりに立......

 暗い曇り空の今日。
 先日、先週と言うべきでしょう、ゴミ出しの日に、その日の集積場の閂の錆に気付きました。扉を開けようと閂に触ったところ、指の腹にチクリと来たんです。金属の錆なので棘の様なもの。指に焦げ茶色の小さな色が付いていました。そういえばこのチクリ、もう少し軽度だったけど以前にもあったかなと、この地域のゴミ出し家庭や、同じ経験からの年数、期間を考えて、被害者は私だけじゃなさそうと感じました。チクっとした痛みだけに、不快感度大。これは、と、以降の対策を考えていました。

 それが先週です。そこで今朝は、我が家の園芸時用に備えてあるバラの棘対策用の革手袋(もちろん安価な物)を着用、無事ゴミ出しを終えて来ました。きちんとした金属の柵がある便利な集積場ですが、設備しているビル、建物同様に老朽化して来たんでしょうね。建ってから何十年経つのでしょうか。当時を知る大人も古び、大分少なくなりました。