Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

赤い服 12

2021-08-26 15:17:51 | 日記

 私は箪笥を持っていました。これは白っぽい桐の箪笥でした。元は私の祖母の嫁入り道具でした。祖母没後、私用に使うよう母から言われ、以降私はこの箪笥に自分の衣類を詰め込んでいました。何を着ようかと箪笥を覗き込み、あれこれと衣類を物色する度に、私はこのジーンズの明るい赤い色を目にするのでした。一旦は気落ちして仕舞い込んだ服ですが、私の気持ちのフェミニンな部分にこの色は訴えかけて来たのでした。女の子らしく着て欲しい。これを着て女の子らしく振る舞って欲しい。普段ショートカットの髪型、ボーイッシュな雰囲気の私は、そんな事をこの衣服に訴えられている様に感じるのでした。『たまにはね。』、そう思う時、折に触れて私は赤いジーンズを穿いてみたのでした。

 時代は降って、高校生の時です。3年生の頃だったでしょうか、課外学習、つまり遠足です。山道等加わった長距離を各々マイペースで歩き制覇するのです。私達は普段制服の高校でしたが、この日は私服OKとなりました。私は何を着て行こうかと箪笥を覗き込みました。上着を決めて、ズボンをとアンダー衣類の段を開けると、パッと明るいカラージーンズの色が目に飛び込んで来ました。上着を無難な色にした私は、ズボンもそれに合わせた地味な物にしようとしていましたが、ついこの色に囚われてしまいました。高校といえば学び一色です。私はそうだったのです。暗い受験生と思ってください。普段でさえ日中はそう外出出来ない日々が続いていた時期です。遠足、日がな一日とまで行かなくても、日中思い切り外を歩ける訳です。『明るい気分で行こう!。』私は決意して、箪笥の中で一際明るい朱赤に手を伸ばしました。当然トップスも変更です。思いっきり明るく女の子らしい組み合わせで、私は着て行く衣類を決定しました。

 


赤い服 11

2021-08-26 13:08:01 | 日記

 私はここで、赤、朱色に近い明るい赤い色のジーンズを選びました。当時の元々のブルージーンズが濃紺だった事から、その反動でかけ離れた色をと私は選択したのでした。私が女の子らしい色にと考えて選んだこの赤いジーンズは、私がこの店内の商品を見回して直ぐに気に入った物でした。母もそうね、いい色だわと、笑顔を私に向けると機嫌良く同意してくれたものでした。

 私が赤い衣類を身につけるのは、大抵は気分の良い日でした。お天気が良く、少しは女の子らしく着飾ってみて、ルンルンと明るく外を歩いてこようか、そんな気持ちになる日でした。そこで私はこのジーンズを買ってもらった日からこれを穿き、既に数回ご近所を闊歩して来ていました。もちろんこれを穿いた時の私の気分は最高潮で、その明るい色味の気分の儘に、何時も朗らかに帰宅して来ていました。そう、ある出来事があるその日迄。

 或る日、母方の叔母が私の家へやって来ました。叔母は母の末の妹に当たります。こちらへ来た目的は地方都市の大きな商店街で何かの買い物がしたいという理由であったと思います。母と私は叔母に誘われる儘に、共に連れ立って街まで出る事にしました。家を出て直ぐだったと思います。私の母は何か思い出したらしく、叔母と私に先に歩いていてくれと言うと急に家に引き返して行きました。何だろうと、私達は訝しがりながら何時もの商店街の大通りへ、家から向かう道を歩いて行きました。

 商店の入り口に向かう、坂道の通りが有る広道迄の、家から丁度中間ぐらいの距離に当たる場所に差し掛かった時のことです。何を思ったのか、叔母が私からさささと数歩離れるとこちらを振り返って見ました。叔母はそんな素振りをまた数回繰り返して、ふふっと笑うとこう私に言った物です。

「ざっこい、そのズボン似合うと思って着てるの。」

と、こう言った言葉だったと思います。これは叔母が私にその赤いジーンズが似合わないと言っていたのです。『ざっこい』は、母の里の方言で、何かに付けてこの叔母はよくこの言葉を口にしていました。誰かの服装の評は勿論ですが、ざっこい犬、ざっこい色、ざっこい…、等々。意味は妙だとか、尋常じゃないと言う様な意味の様ですが、私の叔母の言いたい事は、『変だ』という意味の様でした。

 行成です。何時も私には親身になってあれこれ構ってくれる叔母でした。叔母の顔が笑顔であっても、私は衝撃を受け吃驚しました。この場合のざっこいの言葉も、私には効果的面でした。この私の驚きは後味の悪い悍しい気分を私にもたらしました。今から商店に買い物に行くという私の楽しい気分は沈み込み始めました。

 その後も叔母は、よくそんなズボンを履いて外を歩けるねとか、恥ずかしくて並んで歩けない等、叔母にすると私が姪という気安さからでしょう、顔は笑顔ですが、つけつけと私に対して小言の様に並べて言ってくるのです。この時の私達はまた並んで角を曲がる所でした。私もそれ迄は笑顔を浮かべ、時には苦笑いをしていたのですが、人間どんな拍子か、ムッとすると思わずプン!となる時がある物です。この時の私がそうでした。

 「私帰る。」

私はそう叔母に言うと、叔母に母と叔母の2人で買い物に行くよう言い出し、自分は家に引き返す構えを見せました。当然叔母は慌てて私を引き止めたのですが、一旦こうと言い出した私も後に引けず、町角で2人であれこれと言い合っていました。その内に私の母が追い付いて来たので、気分を害した私は切りよくその儘ぷいと帰宅したのでした。

 これは私にはショックでした。他人では無い親戚の叔母の言葉だっただけに、剥れた私はジーンズを箪笥に仕舞い込んで長らく穿かずにいました。しかし、その内またこれを取り出して見つめ直し、やっぱり女の子らしい可愛い色だからと、再び穿くようになったのですから、私も極々普通の女の子をしていたものです。


今日の思い出を振り返ってみる

2021-08-26 09:01:03 | 日記
 
今日の思い出を振り返ってみる

うの華 38 一触即発!と見る間に私の目の前で、ずんだんと祖父と父の親子喧嘩らしい小競り合いが始まった。私の見る限り何方も負けていないという様子に見えた。私の手前何方も引くに引けな......
 

    晴れ間の見える良い天気です。世情はコロナの感染者拡大で酷いことになり、こちらも子供達の夏休み延長の様相です。

    高校は延長が決定されましたが、小中はどうなるのでしょうか。特に家の区域の小学校は今年閉校予定なので、学校行事は滞らせたく無いでしょうね。しかし感染を広めたくも無いでしょうし、難しい選択です。巷では自主休校させる親もいるとか。成る程と思いました。

    私は春、母校の閉校を配られてきた区域の会誌で知りました。もう以前から、小学校閉校の話題が校下の会合で話し合われている事は、やはり地域の配布物で知っていました。が、決定していた事は知りませんでした。それで会誌を読み、到頭かと驚きました。突然、もう今年でなのだと知ると意外でしたが、会誌を読んだ時はその後の小学校がどうなるのか分かりませんでした。その後、同じ中学校下の別の小学校と、母校の小学校が合併すると聞いています。

    まぁ確かに、校下の中学校はこの2校の小学校から成っているのですから、これは当たり前といえば当たり前の話しです。けれど…、と、割り切れなく思うのは私だけでは無い事も確かでしょうね。唯、皆それぞれに、母校に餞するのもよいかもしれませんね。


赤い服 10

2021-08-25 16:58:13 | 日記

 人それぞれ、よく十人十色というように、同じ場面であっても人それぞれの感情は違う物かもしれません。私の場合はそうだったという話です。

 さて、過日もそうでしたが、次に中学校の校舎で会った時、友人の私に対する態度に普段と何等変化は無く、彼女は終始にこやかで穏やかでした。私もこの後この友人に対して、それまでと何も変化の無い態度で過ごせた物でした。

 この様に翻ってみると、皆質素で奥ゆかしく穏やかに和を尊ぶ、そういう生徒を培った校下であったように思えます。

 以上、懐かしい小学校校庭での出来事を基にした私のエッセイを、僭越ながら、去り行く小学校に寄せて私からの餞と致したいと思います。

 

 さて、次は赤いパンタロンのカラージンズの話しです。私の住んでいる市にも当時流行りのカラージーンズがやって来ました。商店街にはジーンズの専門店が幾つか出来ていました。これ等のお店でジーンズを買うと、店内に置かれた専用ミシンで裾上げをして、待っているお客に買ったばかりの商品を直ぐに渡してくれました。私はもう、こういったカラージーンズを買って貰った年代をハッキリと覚えていないのですが、小学校高学年か中学生になった頃だと思います。それは従姉、または当時の友人の勧めで購入を決めたのでした。

 或る日、私は母を伴ってジーンズのお店を訪問しました。私は既に、お店に行く前から型は流行りのパンタロンと決めていました。ここは私が買うといいよと勧められていたお店の1つです。ここでこれ迄の流れを言うと、私が母に強請って購入の許可を取り付けたのでした。母からのOKを貰うと、私は意気揚々とにこやかに母を従え、商店街を進んで母を案内しこのお店へやって来たのでした。昭和一桁の母にはジーンズが物珍しかった様子でした。へーっという様子で店内を見回していました。これが今時の若い子の流行りなのねという感じでした。


今日の思い出を振り返ってみる

2021-08-25 07:56:33 | 日記
 
うの華3 29

 台所に1人残って、母の最後の言葉に憤慨しながらぽつねんとしていると、私は自分が所在の無い事に気付いた。如何しようかと思う。廊下の先、居間や座敷のある方向に注意を向けてみた。階段の......
 

    曇り空の今朝です。まあ曇天という言い方も有りますね。今朝は何だか怠くて起きるのが億劫でした。早々と夏の疲れが出たのでしょうか。私は台風かな?と、思ったりしました。

    さて、雨が多くなったこの時期、少し暑さが引いた気がして、掃除を少しずつ、小まめにしています。8月は暑い中で、部屋の隅の埃っぽさを感じる季節でもありました。