地域の高齢者の例会の散会間際、一人の婦人が「黙祷」をしましょ
う、と声をあげました。14時46分にはかなり間がある時間でしたが、
十人ほどの出席者はそれを受け、黙祷。 声をあげた人は、この前の
例会で瀬戸内寂聴さんの講演の話をしていたことを思い出しました。
家に戻り、14時46分あらためて黙祷、頭に日本地図を描けば陽を背
に北を向きます。
二年前のあの瞬間、ある県立高校のトイレの清掃が終わり遊具の片
づけの最中、突然消灯、学生が悪戯でもしたのかとスイッチを入れたが
変わりません、すると校舎全体がザ―とざわめき出しました。今から考え
ても揺れている気配はなかったと思います。
校舎の外に学生が集まり、先生が車のラジオを聞いています、そこで初
めて地震だったのか、と思ったものでした。プールの水面が大揺れにゆれ、
縁を越えて何度もコンクリートを波が打っています。小屋のなかで相棒が布
団を頭に被っていました。 帰り道、アパートの角に布団を身に巻いた老婦人
が二三人に囲まれて立っていました。
その頃、いま向いている東北では……と思い返しつつの黙祷でした。