見はじめたTVが「89歳のラブレター」というのに気がひかれ、夕食の後
片付けもせず見終わりました。大坂の古本屋のおっさんの話、3年前に亡
くなった女房への想いとお客さんへのメッセージに手書きの絵を添えたポ
スターを定休日の店に張る、それが人気を呼んでいるという話です。
大坂の商店街の古本屋のおっさんで「89歳のラブレター」なら、わが町
の老夫人の「99歳の恋うた」をご紹介したくなりました。
秋山ちえ子さんはその老夫人・岩田道子先生(と秋山さんは本の「あとが
き」に書かれています)から一連の恋うたの出版を依頼されていました。 託
された四百首の短歌は夫人が白寿の祝いに自分史として参加者に渡そう
と思ったものでした。
しかし、夫人が「召天された(のが)九十九歳が翌々年という時であった」
ために「自分史」という形になりませんでしたが、秋山さんの手により『九十
九歳の恋うたー小さな町の物語』 として他の小品とともに一冊の本となり
ました。
「愛する人の病重しの報に雪のスイスまで駆けつけた老夫人、その艶やか
な心をうたいあげた表題作」は、大坂のおっさんの女房恋しさに共通する決
して衰えぬ人の恋心が、湘南の熱気を深く秘めて語られています。