kaeruのつぶやき

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「スターリン秘史」余話。

2013-03-10 21:17:56 | 不破・スターリン秘史

 不破さんの「スターリン秘史」も「前衛」4月号で第3回・第3章になります。

2年間の連載予定とのことですので、始まったばかりという段階です。

 直接の内容にかかわることではないのですが、不破さんが「赤旗」のインタ

ビューでスターリンの「悪事」に触れながら、こんなことを言っています。

 【池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』に、「人間というものは、いいことをやりな

がら悪いことをやる」という有名なせりふがありますが、スターリンの場合、世

界ではいいことをやりながら、国内では悪いことをやった、というわけにはゆか

ないのですね。】

 このセリフがどこに書かれているか知りたかったのですが、やはりITnetは便

利なもので、「明神の次郎吉」(文春文庫では8)に出てくる話でした。

 セリフそのものはこの「話」の最後の平蔵の言葉ですが、「話」のはじめのとこ

ろで、盗賊の次郎吉が行き倒れの老僧・宗円に出会う場、

 【盗賊のくせに次郎吉は、他人の難儀を見すごせない男だ。

 それもこれも、おのれが他人の金品を盗み取るのを稼業にしている引き目から

出たもので、悪事をして食べているのだから、悪事をはなれているときぐらいは、

(せめて、善いことをしてえものだ)

 という、いわば罪ほろぼしをしながら、こやつ罪を重ねて生きている。】

 という場面があります。

 次郎吉が宗円の遺品を平蔵の親友に届けることから、いろいろありまして、

平蔵の働きによって、盗賊一味が拿捕されるが、これも平蔵の計らいで一味は

死罪をまぬがれ、さらに次郎吉の罪はもっと軽くなる。

 そんな話を平蔵は妻・久栄と語り、

「人間(ひと)とは、妙な生きものよ」

「はあ……?」

「悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事をはたらく。……

これでおれも蔭へまわっては、何をしているか知れたものではないぞ」

 

 何を善とし何を悪とするか、次郎吉、平蔵、世間、kaeru等々で判断の基準が

ある、それにしてもスターリンの場合の「基準」は何だったのか、それを読取るの

がこの連載の「凄味」で、不破さんが池波ファンであった真骨頂が発揮されると

思います。平蔵ならぬ哲三が「世紀の巨悪」に切り込んでいく訳ですから。