Reflections

時のかけらたち

すてきなコンサート(追記) ・・・ miracle concert

2019-03-01 23:59:15 | music
今日は染の小道(24日)を順番でアップしたいところだけど
写真がたくさんで整理する時間がありません。
順番が後先になってしまうけれど2月27日に行われた
シニアのコンサート「65歳からのアートライフ」にしました。




2月27日 

小さいころから知っている、祖母の甥にあたる親戚の方がいつだったか
法事の時に学生時代グリークラブに入っていて、定年退職後ドイツ・リートを
歌っていて、リサイタルが夢と話されていました。
その彼から妹にコンサートの連絡が入り、青葉台のフィリアホールに一緒に行ってみること
にしました。

前日に初めてブラウニーを作ってプレゼントにしました。いただいていた土佐文旦もひとつ入れて。



くるみをいれたビターチョコで作ったブラウニー。ローストしたアーモンドプードルも入っています。







ホールは500名収容で、ほとんど埋まった状態になりました。
60代から90代までの方たちが年齢を全く感じさせない声で
素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

いい年の取り方をしているな~と思いました。
なんだか映画でも見ているかのようでした。

音楽はメッセージ。何かを人に伝えたいために歌っているのがわかります。
高齢者の道半ばという言葉に励まされました。音大とかで専門に勉強された方たちでは
ないらしいのですが、若いころ声楽をやっていらした方とかレベルがすごく高くて、
そして女性は衣装もすごくすてきでした。この晴れの舞台のためにずっと準備されてきた
のでしょうね。

その人の生きてきたところが表われる音楽。

アマチュアのそしてまるでプロのように完成度の高い人もいたけれど
音楽を追及する普通の人たち。すてきな年齢の重ね方に勇気づけられました。
何しろ65歳以上で90代までの人が音楽を楽しんでいます。

遠い親戚の彼は学生時代グリークラブで歌っていて、今はドイツ歌曲を
中心に歌っているようです。仕事をしていた時は銀行の勤務で長いこと
ハードな仕事をしてきたと思います。

今ここで花を咲かせている人たちのその生き方を見ていると、道半ばで
他界した音楽が好きだった彼女の声が聞こえるようでした。彼女は私も苦労だけでなく
楽しく、充実していたよと話しているようでした。

「夢遊病の女」や「アンナ・ボレーナ」からのアリア、「ロメオとジュリエット」もありました。
トスティの歌もあり、ホセ・カレーラスが良く歌うイタリア歌曲もいくつかあり、知っている曲も
多く楽しむことができました。知り合いの彼はシューベルトの「死と乙女」と「菩提樹」の2曲でした。
私は93歳の女性が挑戦したシューマンの「クルミの木」を聴いた時、とても感動して静かに
涙が流れました。

最後に日本では超一流のオペラ界の方たちの講評とおまけの歌がありましたが、
講評ではその人の持つ声や技法だけでなく心のある歌がとても勉強になったと
話されていました。

講評をされた 砂川涼子(ソプラノ)鳥木弥生(メゾ・ソプラノ)村上敏明(テノール)さん達
の演奏がすばらしかったです。

テノールの村上さんが作曲家の小林秀雄のお嬢さんが伴奏者としていらしていたので
急遽曲目を変更して落葉松を歌った時にはもう涙溢れて仕方がなかったです。その前に
78歳の方も歌っていましたが、声の質とかでそれぞれ味がありました。私が習っている
サークルが参加した千代田区の文化祭でもコーラスでこの曲が歌われていました。




カルメンのハバネラをソプラノの方が歌った時はプロのその場の空気の作り方に
圧倒されました。音楽の楽しさがあふれました。

ラストは3人で乾杯の歌。とても素晴らしいコンサートの幕が閉じました。

プロのコンサートとは違うこういうコンサートっていいものだと思いました。

家に帰ってからも、胡桃の木が聴きたくなってYouTubeで探して聴きました。




ダムラウで胡桃の木 シューマン ミルテの花より

Es grünet ein Nußbaum vor dem Haus,
Duftig,
Luftig
Breitet er blättrig die Äste aus.

家の前に一本のくるみの木が繁っている、
良い香りで
爽やかに
葉のついた枝を広げている。

Viel liebliche Blüten stehen dran;
Linde
Winde
Kommen, sie herzlich zu umfahn.

たくさんのかわいらしい花が咲き出でて、
穏やかな
風が吹いては
それを優しく包み込んでいる。

Es flüstern je zwei zu zwei gepaart,
Neigend,
Beugend
Zierlich zum Kusse die Häuptchen zart.

花々は二つずつ対になってささやき合い、
頭を傾げ
身を屈めて
愛らしく優雅に口づけをを交わしている。

Sie flüstern von einem Mägdlein,
Das dächte
Die Nächte
Und Tage lang, wußte, ach, selber nicht was.

花々がささやくのは一人の少女の事、
彼女は想いにふける、
夜も
昼も、ああ 自分でもそれが何なのかわからない。

Sie flüstern - wer mag verstehn so gar
Leise
Weis’? -
Flüstern von Bräut’gam und nächstem Jahr.

花々はささやく-でも誰が気づくだろう?
こんな小さな
声に-
ささやいているのは花嫁の事、未来の事。

Das Mägdlein horchet, es rauscht im Baum;
Sehnend,
Wähnend
Sinkt es lächelnd in Schlaf und Traum.

少女は耳を傾け、木はざわめき、
見つめ
思いをはせ
微笑みながら眠りと夢の中に沈んでいく。

ミスター・ビーンのお気楽ブログより



聴いているうちに素敵なシューベルトの歌曲をみつけました。
バーバラ・ボニーです。



Du bist die Ruh, D 776
 あなたは安らぎ

Du bist die Ruh,
Der Friede mild,
Die Sehnsucht du,
Und was sie stillt.
 あなたは安らぎ、
 穏やかな平安、
 あなたは憧れ、
 そして憧れを鎮めるもの。

Ich weihe dir
Voll Lust und Schmerz
Zur Wohnung hier
Mein Aug' und Herz.
 私はあなたに、
 喜びと苦しみでいっぱいにして、
 この住まいに
 わが瞳と心を捧げよう。

Kehr' ein bei mir,
Und schließe du
Still hinter dir
Die Pforten zu.
 私のもとを訪ねておくれ、
 そして
 そっとあなたの後ろの
 戸を閉めておくれ。

Treib andern Schmerz
Aus dieser Brust.
Voll sei dies Herz
Von deiner Lust.
 他の苦しみを
 この胸から追い出しておくれ。
 この心を
 あなたの喜びでいっぱいにしておくれ。

Dies Augenzelt
Von deinem Glanz
Allein erhellt,
O füll' es ganz.
 この瞳の天幕は
 あなたの輝きだけに
 照らされている。
 おお、その輝きで瞳を満たしておくれ。

詩:Friedrich Rückert (1788-1866)
曲:Franz Schubert (1797-1828)

Taubenpost~歌曲雑感より

音楽が止まらなくなって、久しぶりにグレン・グールドも聴きました。





思わず図書館を検索してダムラウのCDとバーバラ・ボニーのシューマンの予約を入れました。


Feb.27 2019  Aobadai


⋆⋆⋆⋆⋆

今日食事の後片付けをしながら思い浮かんだのは鴨長明の 方丈記の一説
「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶ
うたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし・・」
川の水も表面は変わらないようだけど、絶えず流れている。
ヨガでもじっとポーズを取っていても相反する二つの力が押し合って保っている。
いくつになっても努力していくことは必要なのだと思いました。
余生とはいえ、人間は死ぬまで前進していくものなのだと心の中に何かが
落ちて行きました。
コメント
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