碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

おかしなことは、やはり「おかしい」わけで・・・

2012年06月14日 | 日々雑感

内田樹さんのブログ「内田樹の研究室」。

昨日(13日)、「さよなら民主党」のタイトルで書かれた文章の中に、
以下のような部分があった。

さすがに温厚な私も(笑)、このところ「ちょっと、あんまりじゃね?」と思っていたことなので、再認識するために、採録させていただきます・・・・


民主党は今、彼らに立候補者330に対して308人の当選者を与えた2009年の総選挙での選挙公約のほとんどを放棄し、首相は「しない」と約束した消費税増税に「政治生命をかける」と呼号している。

なぜ、選挙公約がこれほど組織的に放棄されなければならないのか。これについて、為政者には説明責任があるだろう。

けれども、消費増税についても、原発再稼働についても、首相の口から「情理を尽くした説明」が語られたようには思われない。

政策が歴史的状況の変化によって転換されるのは当然のことである。

だが、その場合には、なぜ過去のある時点では「適切」と思われた政策がその後「不適切」になったのか、その経過を説明する義務があるだろう。

どのような情報を勘定に入れ忘れていたのか。どのような想定外の事態が出来したのか。なぜ、現実には起きてしまった事態を「想定外」に類別していたのか。何を見落とし、何を見誤り、どのような推論上の過誤を犯したのか。

その検証と開示ぬきに、マニフェストを変更することはできないと私は思う。私は間違っているのだろうか。

(内田樹の研究室 2012.06.13)



・・・・いえ、間違っていませんよ、内田先生。

内定が出ていない大学4年生のこと

2012年06月14日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回書いたのは、現在進行中の大学4年生の就職活動について
です。


偉大なる常識人であれ

大学四年生の就職活動が続いているが、この時期、学生は三タイプに分かれてくる。すでに就職先を決めた者、内定は得ているが就活を継続中の者、そしてまだ内定が出ていない者だ。

実は三番目の学生たちには小さな共通点がある。一つは根拠のない自信に振り回されていること。もちろんプライドは高い。自分一人で何とかなると思っているから教員や大学、親などへの報告や相談をしない。

次に、仕事とは何か、会社や組織に所属することの意味といった根本的な命題を考えないまま動いている。企業の新人採用が「一緒に働きたい仲間」を探す行為だという自覚が足りないのだ。

また彼らから来るメールには件名がないことが多い。本文では相手の名前が省かれ、いきなり文章が始まっている。しかも一般的な敬語が使えていない。文末の名前も名字だけだったりする。すぐ連絡を取ろうと思っても携帯番号すら書いてない。

さらに言えば、もらったメールにこちらが返信しても梨のつぶてだ。自分からメールを出した場合、「返信、ありがとうございました」のひと言でもいいから、最後は自分のメールで終わるのがマナーだろう。

個々の学生はそれぞれいいものを持っており、少し修正するだけで違ってくる。私のアドバイスは毎年変わらない。「まずは、偉大なる常識人であれ」

(東京新聞 2012.06.13)


・・・・大学の教壇に立つようになって18年。

特にこの10年の様子を見ていると、上記のような傾向がある。

メールひとつにも、人物像は表れるから怖い。

書いた通り、「偉大なる常識人であれ」は、私が学生たちに言い続けていることだ。

「当たり前のことを、当たり前以上にできる常識を持った上での、個性や才能の発揮だと思って欲しい」と付け加えている。

ちなみに、碓井ゼミの就職率は、毎年100%です(笑)。