『北海道新聞』に、北海道における「日ハム中継高視聴率」現象についての記事が掲載された。
セ・パ交流戦終了時で、日ハム中継は在札の地上波6局全体で44試合あり、20%超えが28試合。全体平均で22.4%だ。
この数字は、地元球団を持つ他の地域と比べても突出しており、北海道ならではの理由を探った記事になっている。
道内各局の編成の談話が並び、別枠で私の解説がある。
上智大・碓井広義教授(メディア論)
「元気を」道民の思い重なる
「元気を」道民の思い重なる
北海道では長い不況感のもと、元気につながるものを求める潜在的願望が年々強まる中、日ハムの活躍に道民の思いが直結してきた。他地域に比べて高い地元球団への期待感は視聴率に反映されている。
ダルビッシュ不在となった今季、自分たちが支えなければという思いはより強まった。テレビを通じて応援すれば、それに応えてくれる好循環もあって、視聴がさらに増えたのではないか。
加えてここ数年、朝夕の情報ワイド番組は日ハム情報を目玉企画として扱ってきた。この時間帯の主な視聴者は主婦を中心とする女性層で、いわば道内局がこぞって日ハムの女性ファンを育ててきたことも大きい。
またキー局の制作費削減や番組制作力の低下などもあり、全国ネットの人気番組は少なくなっている。そんな中、道内各局にとって、日ハム中継はとても魅力的な“地域コンテンツ”だ。ゴールデンタイムのキー局発のネット番組を差し替えてでも放送したいという道内局の思いは当然だろう。
テレビは「県域免許」によって放送されており、もともと地域とのつながりが深いメディアだ。かつては非常に中央集権的だったキー局と系列ネット局の関係も変化してきており、今後は地方局による独自編成の番組が増えていくだろう。
道内局が地域との共生を目指す上で、日ハム中継や関連番組は大きなきっかけになる。中継のスポンサーも単に広告宣伝だけでなく、道民と同じ目線で地域球団を応援しているという一種のメセナ感覚になってきているように思う。今後、中継を支えるためにも、この傾向が強まることは、視聴者、テレビ局、スポンサーの三者にとって理想的な形だ。
(北海道新聞 2012.06.23)