碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

TBS「ATARU」の最終回

2012年06月25日 | テレビ・ラジオ・メディア

TBS「ATARU」が最終回を迎えた。

毎回、櫻井武晴のオリジナル脚本はしっかりしていたし、中居正広もはまり役だった。

何より、今期7本も並んだ警察モノの中では、かなりいい出来の1本。

最後は、ちょこざい君(中居正広)が、お世話になってきた栗山千明(好演)と彼女の家族に対して、いわば“恩返し”をしたわけで、後味のいい幕切れでした。

唯一、タモリの登場は、ちょっと余計だったけど(笑)。





週刊新潮で、テレビ放送「一時停止」に関してコメント

2012年06月25日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊新潮」最新号に、テレビが視聴者に節電を訴えるなら、自らも放送の一時停止などやってみたらどうか、という特集記事が掲載された。

とても「週刊新潮」らしい内容で、思わず苦笑い。

この中で、コメントしています。

見出し:
聡明な「キャスター」は原発再稼働にご不満
ならばなぜ「テレビ放送」一時停止で
節電を言わないのか!


リード:
やっと決着した大飯原発再稼働問題だが、“聡明な”テレビキャスター諸氏は、原発再起動にご不満な様子。

だが、そもそもは深刻な電力不足解消の問題が発端である。

ならばなぜ、節電のためのテレビ放送の一時停止を言わないのか。
こういう人を口舌の徒と呼ぶ。


・・・・記事はまず、テレ朝「ニュースステーション」古舘伊知郎、NHK「ニュース9」大越健介、フジ「とくダネ!」小倉智昭、TBS「朝ズバッ!」みのもんた、といったキャスターたちの“原発再稼働にご不満”な発言を並べる。

次に、作家の麻生千晶さんの「もし、テレビ局が原発の再稼働にあくまで反対すると主張するなら、電力不足を解消するために、まず自ら、テレビ局が昼の放送を休止するなどの実効のある手段を講ずるべき」といったご意見。

そして、私のコメントになっている。

夏の電力消費のピークが午後1時から4時までの3時間だが、上智大の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。

「民放の昼の時間帯は、再放送枠といわれています。何かの番組で埋めなければいけないので、勢い、ドラマの再放送や通販番組になる。

余力のある局は、生活情報番組を流していますが、どうでもいいような内容のものばかりです。

ニュースを見たければ、夕方の報道番組を見れば事足ります。この時間帯の放送を休止すれば、相当な節電効果が得られることは間違いありません」



・・・・この後、記事は実際の節電効果を試算した結果を挙げていく。

これがなかなかの数字(笑)。

午後1時から4時までのNHKと民放5局を合計した平均視聴率はおよそ30%。つまり、約550万世帯がテレビを見ていることになる。

テレビ1台当たりの消費電力を220ワットとすれば、全体で1時間当たり121万キロワットが消費されている。

実に大型の原発1基分。全国では3基分以上という計算になるはず。

テレビを一時停止すれば、節電効果は抜群だが、夏といえば、甲子園の高校野球の中継である。


・・・・ここからは甲子園野球に関する辛口の意見が並ぶ。

さらに、テレビ放送の一時停止に対するNHKと民放連、それぞれの回答が。

NHKは「公共放送として、災害時に状況を正確・迅速に伝える責務があり、即応できるよう常に放送を行っています」。

民放連は「電力ピーク時に放送を休止することはできません。テレビ局の責任放棄になってしまいます。暑い日に電力が不足する恐れがある場合、大停電を避けるために、それ(電力不足)を知らせなければいけません」。

NHKも民放も放送の一時停止などまるで考えていないようだ。これではキャスターがいくら節電を呼びかけても、説得力などあるはずもない。

(週刊新潮 2012.06.23号)