河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

玻璃(はり)の天

2007-10-17 13:18:31 | 読書(小説)
北村薫、文藝春秋。
「街の灯」の続き。
たぶん、完結編。
だって、ベッキーさんの正体が分かるから。
昭和初期の、その時代の空気を、できるだけ正確に再現しようとした実験作だとおもう。
あの頃の常識を常識のままに、描く。
少し離れて見ることのできる主人公を置いているところが、微妙なバランス。
いまなら、声高に抗議の声が聞こえそうな、男尊女卑の時代。
でも、そういう時代があったんだ。それは、なかったことにはできない。
作者も懐かしくて書いているわけではない。戦後世代だもん。
この主人公(英子)が今まで出てきた主人公の誰よりも才女な気がする。
ていうか賢すぎ?
ベッキーさんはもっとだけど、これは生まれや育ちに理由があるからなー。
最後のお話は、一文字さんが主人公の話で、え、この人を犯人にしちゃうの、と思った、
あの一話に似ている。
どうしてこの人たちに、殺人を犯させるのだろう、作者は。という感想。
コメント
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