河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

最後の場所で

2008-01-09 21:21:50 | インポート
チャンネ・リー、新潮クレストブックス。
コリアン・アメリカンの著者が、30代前半に書いたという作品。
韓国人の両親の元に生まれ、日本人夫婦の養子となり、
日本軍として戦争に従事した過去を持つ男。
医療器具を販売していたころ勝ち得た尊敬をあたため、
年老いた今、ひとりアメリカの片田舎に暮らす。
家族はいない。
養女(黒人)は、求められていないと思いつづけ、去った。
恋人(白人)も、後一歩で引いてしまい、去った。そしてもうこの世にいない。
原題は、ジェスチャー・ライフ。体裁の人生。
こつこつ働く。人に気を遣う。でも失敗するのはなぜだ。
従軍していたころに出会った韓国人の従軍慰安婦Kに出会い、
さまざまな体験をしたことも、一つかも知れないが、
育児を放棄した両親から別れ、日本人として育てられたあたりから、
なにかゆがんだのかも知れない。
それより何より、30代の青年が、1老人の心理を、
これほどまでに丁寧に描くのって、どんな心境だよ。
1人の人間の人生が、描かれていないところも含めて、
本当にうまく描かれていると思う。
決して、面白い話ではないし、何度も読みたい話ではないけど。
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