河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

ザ・ロード

2009-05-13 23:07:43 | 読書(小説)
コーマック・マッカーシー、早川書房。
アメリカ文学。
初めて読んだのは、「すべての美しい馬」出たばっかのころ。
そのさき、「越境」「平原の町」を読もうとしたけど、
図書館にないんだもん。
なんか、いろいろ映画化してメジャーっぽくなったなあ。
前のは、ウェスタン小説風ロードムービーって感じだけど、
今度のは、SFロードムービーって感じ?
何らかの理由で、地球環境が壊滅し、暗い世界。
動物もいない。ヒトはわずか。
旧世界の保存食で食いつなぐか、ヒトの肉を食べて、生き延びている。
南をめざしている父と子。彼らは、前者だ。
少年は、事後に生まれたようなのに、人を信じ、「火を運んで」いる。
この状況に、けっして慣れて、人を殺すようなことはしない。父にも求めない。
父と子の会話が、スリリング。
どちらの精神も崩壊寸前のところで、互いに正常を保つような。
もう少しで壊れてしまいそうなのに、会話することで保たれている、危うい均衡。
淡々と、散文形式で描かれる現在や過去も、切迫した状況を描くのに効果を上げている。

極限下でわれわれは、どのくらい正気を保っていられるのだろう?
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