2018年03月23日
北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二
[韓日漁業交渉決裂 サバ漁獲不振 韓国大型巻き網漁業経営危機に]
韓国で生産されるサバのうち約90%以上を供給している大型巻き網漁業が、韓日漁業交渉決裂、サバ漁獲不振で深刻な経営難に陥っている。
韓国業界紙(WEB)が伝えた。
3月期末決算を乗り切ることができない一部漁業会社があるとの情報も流れている。
大型巻き網漁業の大規模経営危機は、金融破たんと原油高で苦しんだ2008年以来と評価される。
業界専門家は、政府が実質的な支援策を出さなければ、漁業会社の連鎖倒産が発生し、釜山経済にまで影響を及ぼすだろうと警鐘を鳴らしている。
大型巻き網水協によると、中国の違法操業など、様々な外部の影響により、2012年3,664億7,100万ウォンだった漁獲高が連続的に減少、特に韓日漁業交渉が決裂した昨年2017年に至っては2,099億6,400万ウォンで歴代史上最低漁獲高を記録した。
大型巻き網水協組合長イム・ジュンテクは、韓日漁業交渉決裂により、すべての漁船が済州島周に出漁するも、燃料だけを消費して帰港しているのが実情だと言及、特に韓日漁業協定が20ヶ月間漂流し、大規巻き網漁業は20億-30億ウォンの赤字を発生させ、ほとんどの企業が経営危機に瀕していると加えた。
これらの大型巻き網漁業の不振は、全国最大規模の魚市場である釜山共同魚市場の経営、中間業者、港湾運送労組、冷凍倉庫、造船所などに影響を与えており、最悪3万人の産業関係者が失業者に転落する可能性があるとされている。
また、サバの稚魚の漁獲をめぐる体長規制も懸念材料となっている。
漁獲禁止体長制限が現行21cm以下から24cm以下に規制を強化しようとする動きが政府にある。
これに対してある漁業者は、サバ資源管理の必要性については、言うまでもなく、業界も共感しているが、すべての根本的な原因は、韓日漁業協定決裂による漁場縮小だと語り、日本水域で操業が可能な頃、これらの稚魚は大量には漁獲されなかったと指摘、政府の交渉ミスを漁業者に責任転嫁する行為だと加えた。
また、この漁業者は、韓日漁業交渉の遅れにともなう釜山水産業界の被害を一日も早く最小限に抑え、地域経済の活性化のために、政府は、漁業者が実感できる制度的支援と政策的解決策をとるべきだと語った。