2019年11月18日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[日本海北海道隣接ロシア海域スケトウダラTAC設定 期中前に上積み勧告 3万2,200トンへ 10年間で最高値]
全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ太平洋支所チンロは、最新の科学的情報をもとに、日本海北海道隣接ロシア海域スケトウダラについて、2019年10月29日付ロシア農業省命令No.610により承認された、来年2020年のTACを1万トン以上、上積みする勧告を科学操業評議会で提案した。
承認済の来年2020年の当該TACは沿海地方海域1万8,100トン、西サハリン海域3,500トン、日本海計2万1,600トン(前年当初設定比約120%)だったが、この評価は、過去のゾロトイ岬南部のデータが主であり、その後、2019年春季に行われた科学調査船”Владимир Сафонов”(ウラヂミル・サフォーノフ)の調査結果では、沿海地方のバイオマスは20万3,400トンと算定された。
これは、前年2018年に行われた算定より5万トン多く、特に2014年級群の豊度の高さ、商業資源への確実な加入が要因と確認された。
商業対象のバイオマスの算定値に基づくスケトウダラ資源管理規則により、沿海地方海域のTAC設定は2万8,700トン、日本海計3万2,200トン(約170%)が適切であり、2018年に勧告した2020年の当初設定TAC1万8,100トンより1万600トンの上積みとなると同研究所は根拠を説明した。
なお、同研究所は、このほか、最新の科学的情報に基づき、スケトウダラのTACについて、西ベーリング海が30万9,100トンから40万7,900トンに、また、チュコトカ自治区が4,200トンから5,600トンへ、期中前に見直しする勧告を行った。
(報告担当者 原口聖二:この上積みが承認されたならば、日本海北海道隣接ロシア海域スケトウダラTAC設定は3万トンを超え、この10年間で最高値となる。)