2020年07月01日
北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[韓国 2020年漁期(同年7月-2021年6月)TAC設定に関する情報等について]
”またがり資源”スルメイカ 前年度比86.5% 8万5,930トン設定
韓国海洋水産部は、2020年漁期(同年7月-2021年6月)のTACについて13魚種、計28万6,045トンを別表のとおり設定した。
”またがり資源”として評価されるスルメイカは前年度比86.5%の8万5,930トンになった。
当該資源の日本の2020年漁期(同年4月-2021年3月)のTACは、既報のとおり前年度比86.1%の5万7,000トンとなっている。
暫定的予想数量で、2019年漁期の日本の当該資源の漁獲量が3万トンに対し、韓国は4万3,000トンで、ともに、TAC開発率は40%台となっている。
この韓国の生産の内、2018年から新規に試験的にTAC設定が開始された、西海トロール(2そうびき)操業が一定のシェアを持ち出している。
当該漁業は2018年、2019年漁期とも、約1万トンを生産しており、日本の科学研究機関は、この漁獲を秋季発生系群に仕分けしているが、依然として、同発生群の中国と北朝鮮の漁獲実態等は不明なままとなっている。
日本水域とまたがっているスルメイカ資源について、次の漁獲情報が加味されていない資源評価とTAC設定になっていることが、あらためて指摘される。
①北朝鮮水域における中国漁船操業(日韓EEZよりはるかに大きい漁獲をしているとの情報がある)
②ロシア水域でのロシア国内漁船による沿海地方海域、西サハリン海域、南クリール海域操業
③ロシア水域沿海地方海域でのロ韓、ロ朝、ロ中漁業協定に基づく各国漁船の操業
④日本海を中心とした北朝鮮の違法操業
⑤その他
これらの指摘に対し、日本の関係機関は、秋季発生系群を対象に、日本海北西部の人工衛星の夜間可視データを利用し、灯火を用いる漁船操業のモニタリング体制の構築に取り組み、中国漁船、北朝鮮漁船の漁獲量の把握を試みているが、その推定は困難な状況にある。
なお、冬季発生系群を対象に、公表された2012年からの北太平洋公海部分(NPFC海域)での中国漁船とロシア漁船の漁獲データが日本の資源評価の一部に加味されたが、そのオーダは合算しても 千トン台で小さな数量となっている。