2024年06月13日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[ロシア スケトウダラ業界 中国HoReCa市場の白身魚需要により供給の安定化を展望]
ロシアのスケトウダラ業界は、中国向け製品について、これまでのEU等向け再輸出用加工原料の供給ばかりでなく、同国HoReCa市場の白身魚需要による供給の安定化を展望している。
中国の白身魚加工業者や世界中のパンガシウスやその他の安価な魚の供給業者は、ケータリング施設や電子商取引サービスを含め、中国HoReCa市場の拡大で白身魚製品の需要が増加していると認識している。
中国の外食業界は、大衆的な魚料理レストランの人気が高まっており、海鮮料理を提供する外食チェーンの展開が活発になっていると評価している。
中国は世界最大の水産物消費国であり、ロシアの水産物輸出の最も重要な目的地の1つとなっている。
一方、ロシアは中国にとって、(エクアドルに次ぐ)第2位の水産物供給国である。
金額ベースで見ると、昨年2023年、ロシアの中国への魚輸出は29億ドルに達し、そのうち冷凍魚が約16億ドル、甲殻類が約12億ドルだった。
この冷凍魚の内、スケトウダラが6億4,200万ドル、マダラ3億4,500万ドル、太平洋サケマス1億6,000万ドル、そしてイワシが1億5,300 万ドルを占めた。
中国国内市場における白身魚の需要の高まりは、ロシアの輸出業者に良い機会をもたらしている。
この国の水産物消費には特殊性があるが、特に安価で高品質の天然魚には大きな可能性がある。
ロシアは、外国の競争相手である養殖ティラピアやパンガシウスの供給国とは異なり、価格は同等ながら、はるかに高品質な製品であるスケトウダラによって、この需要を満たすことができる。
現在においても、スケトウダラはロシアから中国へ輸出される冷凍魚の40%以上を占めているが、2019年と比較して14%減少した。
これは、ロシアの高次加工量の増加と中国の加工量の減少などのいくつかの要因によるものだが、同時に中国からのスケトウダラ加工製品の再輸出はそれよりも大きく減少しており、これは、中国国内でのスケトウダラの消費が増加していることを指し示している。
現在、ロシア産冷凍スケトウダラの価格は大幅に下落しており、これが中国国内市場での当該魚種の種の人気の高まりに貢献している。
また、ロシア産マダラの価格高騰と漁獲量の減少を背景とした供給量の減少により、スケトウダラは中国市場にとって、より魅力的な商品となっているとロシアスケトウダラ漁業者協会は指摘している。