2024年07月12日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[スケトウダラ国際市場 米国上院議員の行動は欧州加工流通業界と消費者を苦しめるものとなる]
米国アラスカ州選出上院議員ダン・サリバンらは、スケトウダラの欧州フィレ製品市場で米国漁業者と競合するロシア産製品の供給を食い止めることを主な目的に、国際認証発給機関に対しロシア産について認証発給と使用を禁止するよう求めている。
欧州市場はアジア市場とは異なり、当該国際認証に関心をもっている。
この問題についてロシアスケトウダラ漁業者協会は、欧州市場はスケトウダラの主要市場の一つであり、ロシア産の供給に大きく依存していて、ロシア産H&G(ドレス)から中国で再加工されたフィレのシェアが大きく、欧州の食品加工業者、流通業者が、相当量の製品を置き換えることは不可能だと指摘、これら業界ばかりでなく、確実に最終製品価格が高騰し最終的には消費者までも苦しめ、深刻な危機に陥るだろうと説明した。
また、全ロシア漁業者水産物輸出者協会も、今回の行動がウクライナ情勢を利用したもので、自国の漁業経済の悪化を市場競争で解決しようとしない不当な試みだと批判している。
米国は、2022年7月、ロシアからの水産物製品の輸入を全面禁止し、更に2023年12月には、第3国が加工した製品についても、ロシア原産水産物の輸入を禁止する追加制裁措置をとった。
EUは、2022年3月以降、ロシアの水産物製品輸出者リストを更新していない。
また、EUは、2024年から2026年の新たな自主関税割当(ATQ)制度から、ロシア産の主要なスケトウダラ等の白身魚を含め水産物製品を除外、輸入免税はなくなり、13.7%の標準関税が設定され、さらに、第3国が加工した製品についてもこれが対象になっている。
さらに、英国は、2022年7月、ロシア産白身魚の輸入関税を引き上げ、35%を設定し、現在、第3国が加工した製品についてもこれを対象とする検討が開始されている。