2024年07月04日
リポート 北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[南クリール諸島がロシアのフィッシュミール生産成長の原動力になる]
南クリール諸島は、ロシアのフィッシュミールとオイルの生産成長の原動力になりつつある。
クリール列島では多くの企業が、フィッシュミールとオイルの生産能力の強化に投資を行っている。
色丹島の“漁業コンビナート・アストロブノイ”(Рыбокомбинат «Островной»)は、1日あたり120トンと350トンの原料処理能力を有する2つのフィッシュミール工場を竣工させており、更に400トンを処理できる同施設を建設している。
また、国後島の“ユジノクリリスキー漁業コンビナート”(Южно-Курильский рыбокомбинат)のフィッシュミールとオイルの生産施設に対し、昨年2023年、ロシア政府は近代化補助金2億4,500万ルーブルを割り当てることを発表している。
世界のフィッシュミール市場は、今年2024年から2034年までに1.5倍に成長すると予想されている。
昨年2023年のロシア漁業のフィッシュミール生産量は、前年同期を8.2%上回り、17万4,600トンに達している。
漁業生産量において日本の400万トンに対し、ロシアは500万トンで近年リードしているものの、フィッシュミールの生産量は日本(20万トン弱)より大幅に遅れ、これは、設備投資が求められる残滓利用が進んでいないロシアの状況を表すものとなってきた。
しかし、資源に対する漁業製品歩留まりの向上、出現した極東海域のイワシ資源の利用、残滓の不法投棄問題の解決等を目的に、中国の水産養殖向け飼料市場ほか、世界的に需要が高まっている当該製品の生産を拡大しており、2018年に初めて10万トンを突破、以後、右肩上がりで成長を続けている。