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一般社団法人北洋開発協会

北方四島官民調査団帰還 ロシア主導崩さぬ構え【ユジノサハリンスク則定隆史】

2017-07-02 03:47:12 | 日記
2017年07月02日
北海道新聞【ユジノサハリンスク則定隆史】
[ロシア主導崩さぬ構え]
<フォーカス>四島協力、医療・漁業に可能性 「特別な制度」難航も 調査団帰港
ロシア側は北方四島における日本との共同経済活動に向けた動きを歓迎しつつも、ロシアの主権を前提に事業の具体化を進める立場を崩していない。
北海道新聞ユジノサハリンスク支局のマリヤ・プロコフィエワ助手が取材した国後島。「共同事業がスタートすれば、われわれは現在のロシアの法律の範囲内で土地の提供や優遇税制を支援することができる」。北方領土を事実上管轄するサハリン州のコジェミャコ知事は6月28日、記者団にこう述べ、共同経済活動はあくまでロシア主導で進むとの考えをにじませた。
ロシア政府は現在、2025年までの「クリール諸島(北方領土と千島列島)社会経済発展計画」に基づき、四島のインフラ整備や産業育成を進める。だが、原油価格の下落や欧米の制裁に伴う財政事情の悪化で、十分な予算を確保できないのが現状だ。
共同経済活動に期待を寄せる背景には、日本からの投資を呼び込み、計画を着実に進めたいとの狙いがうかがえる。
国後、色丹両島と歯舞群島を管轄する地元行政府の幹部は北海道新聞の取材に「来年には日本側と具体的な契約を結びたい」としつつ「共同経済活動が領土問題に影響を与えるとは考えていない」と言い切った。

2017年07月02日
北海道新聞
[手応え、課題 収穫多く 四島調査団]抜粋
北方四島での日ロ共同経済活動の具体化に向けた官民調査団の参加者は1日、現地での5日間にわたる調査を終え、感想を語った。法的な問題をどうクリアするかなどの課題は多いが、視察先での率直な印象を話した。(聞き手・報道センター 五十嵐知彦、釧路報道部 安房翼)
■漁業資源多く将来性 【漁業】高橋敏二・根室湾中部漁協組合長
択捉島 ではサケのふ化場を見た。1社で8カ所くらいふ化場を持っていると聞き、随分進んでいると感じた。サケ・マスの加工場も、ラインがきちんとできていた。港は根室ほど立派ではなかったが、漁業資源は豊富にあると言っていたので、将来性はあると思う。
今後も共同経済活動の調査を続けられるのではないかと手応えを感じた。調査を何度か繰り返すことで、漁業振興について、われわれの声も聞き入れてもらえるのではないかと感じた。双方が抱える事情について、問題解決の道を探らないといけない。サケ類の調整でもいろいろな話し合いができるよう相手の事情を知り、考えることが大事だ。
■観光には 計器飛行 で降りられる飛行場必須 【観光】加森公人・加森観光社長
ホテルや温泉施設の内容は、まだまだだ。ただ、手付かずの自然は観光資源になる。下手に整備しない方が良いのではないか。海に腰くらいの深さまで入れば、花咲ガニが漁具のヤスで突けるぐらいたくさんいるというのは発見だった。ウニやカニを自分で捕り、夕食の素材に使うといった楽しみ方もできるのではないか。
海流の関係で冬でも意外と暖かいと聞いた。ただ、霧はどうなっているのかなどの気象条件と、観光に適したシーズンの調査は必要になる。先方には(高度計や速度計などだけで操縦する)計器飛行で降りられる飛行場を造ってもらうのが最低条件だと伝えた。飛行機が確実に着陸できる保証があればツアーが組みやすい。

2017年07月01日
朝日新聞
[北方四島の官民調査団、視察終える 交渉の道筋見えず]
北方四島での「共同経済活動」を進めるための官民調査団が1日、初めての調査活動を終えて北海道根室市に戻った。日本政府は事業を具体化して領土交渉に弾みをつけたい考えだが、その道筋は見えていない。
初の官民調査団、国後島に到着 現地の知事と会談
「互いの制度面で、解決しなければならない課題が明らかになった」
調査活動終了後、根室市で記者会見した調査団長の長谷川栄一・首相補佐官はこう述べ、新たな法的枠組みが必要との認識を示した。
調査団は27日から5日間、国後、択捉、色丹の3島の海面養殖などの漁業、観光、医療などの関連施設計64カ所を視察。島民と意見交換も行った。長谷川氏ら政府関係者は四島を管轄するロシア・サハリン州のコジェミャコ知事らと会談。コジェミャコ氏は、ビザなし交流の拡大や共同経済活動に向けた日ロの合弁会社設立などに前向きで、「双方に有益な事業を検討する第一歩」と評価した。
もともと四島は漁業と軍関係が主な産業だが、最近はロシア政府の発展計画に基づき、病院などの建設も進む。ロシア側には、経済危機で開発予算が縮小するなか、日本の資金と技術を活用して産業振興や雇用増につなげる狙いがある。
一方、調査団メンバーの企業関係者からは「開発されていない分、観光資源の宝庫」(観光業)、「近代的な施設もあり、水産物も豊富」(水産加工業)といった共同経済活動に前向きな声があがると同時に、「人や物の往来手段が乏しい」(商工関係者)などの課題も浮き彫りになった。
特に、事業を進める上で欠かせないのが四島をつなぐ航路だ。長谷川氏は「往来の円滑化は欠かせず、そのための法的枠組みの議論にも取り組まなければならない」と強調した。日本政府としては、こうした課題を日ロどちらの法律とも異なる新たな法的枠組みをつくることで解決し、それを足がかりに領土問題の解決と平和条約締結につなげていきたい考え。長谷川氏は週明けにも、安倍晋三首相や岸田文雄外相と今後の進め方を協議する方針だ。
ただ、今回の調査では具体的な事業の絞り込みには至らず、次回以降の現地調査の見通しも立っていない。ロシア政府はロシアの法律に基づいて事業を実施するよう求めている。ある日本政府関係者は「『調査』とは名ばかりで、ただ見に行っただけ」と話す。
(小野甲太郎、神村正史、ウラジオストク=中川仁樹)

2017年07月01日
日本経済新聞
[日ロ経済活動、漁業・観光など軸 北方領土調査団が帰還]
北方領土で日ロ両政府が取り組む共同経済活動を巡る官民合同の調査団が1日、現地調査を終えた。国後、択捉、色丹の各島にある水産加工施設や観光ルートなどを合計64カ所を視察。政府は9月に予定する日ロ首脳会談までに観光や漁業を軸に実施可能な事業を絞り込む考えだ。事業実施の前提となる両国の法的立場を害さない「特別な制度」の検討も急ぐ。共同経済活動は昨年12月の日ロ首脳会談で実現に向けた協議を始めることで合意した。日本側は同活動を通じて両国間の協力関係を強化し、懸案の領土問題の前進につなげる狙いがある。今回の調査団には関係省庁や北海道庁、事業に関心を持つ民間事業者など合計69人が参加。4つの専門グループに分かれて、3島にあるサケ・マスふ化場や地熱発電所、港湾施設、ホテル建設地、病院などを訪れた。調査団団長を務める長谷川栄一首相補佐官は1日、根室市内で記者会見し「共同経済活動の展開に大きな可能性を感じている」と強調した。具体的には「観光資源のポテンシャルを感じた」と指摘。日本の元島民が暮らしていた当時の雰囲気が残る色丹島を挙げ「観光的に開発すれば磨きが出る」と指摘した。調査団には32の民間団体も同行。漁業や建設業界、風力発電の開発会社に加え、小売事業者らも加わった。参加者によると日本の技術やサービスへの期待は大きいといい、コンビニエンスストア「セイコーマート」を運営するセコマの丸谷智保社長は根室港で記者団に「日本の食料品への期待は大きい」と述べた。同氏によると、しょうゆやカップ麺が日本の2~3倍の価格で販売されていたという。ただ同地での店舗展開に日本との物流網の整備が欠かせない。参加した小売業者からは日本と北方領土を結ぶ定期航路の開設を求める声が出た。現地では日本の医療サービスへの関心も高いが「許認可なども絡みハードルは高い」との見方もある。共同経済活動を単なる日本側からの経済協力に終わらせないためには、人やモノの行き来につなげる事業が欠かせない。ただ、日ロ双方が主権を主張するなかで四島での活動を法的にどう担保するかは難題だ。税制や警察権などの調整が必要になるためで、長谷川氏は記者会見で「新たな法的枠組みに関する議論が必要だということを、双方が認識する機会となった」とも語った。北方領土を事実上管轄するサハリン州のコジェミャコ知事は先週、日本経済新聞のインタビューで、両政府が対等に参画する公社による特区での運営に言及した。日本側には水産加工や養殖事業など、洋上で実施できる事業などハードルが比較的低い分野から先行実施する案も浮かぶ。政府は安倍晋三首相とプーチン大統領の信頼関係をテコにトップダウン方式で検討を進める構え。早速、7日からドイツで開く20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて首脳会談に臨み、早期に事業を絞り込む方針を確認。9月にロシア・ウラジオストクで開く東方経済フォーラムの際の会談で、事業案とともに新たな制度の絵姿を示したい考えだ。

2017年07月01日
北海道新聞【根室】
[四島調査団が根室帰港]
北方四島での日ロ共同経済活動の具体化に向けた官民調査団(団長・長谷川栄一首相補佐官)は国後、択捉、色丹3島での視察を終え、1日正午すぎチャーター船「えとぴりか」(1124トン)で根室港に戻った。
下船した団員のうち根室湾中部漁協の高橋敏二組合長は「サケのふ化場などを視察した。共同で何ができるかはこれからの話し合いだろう」と話した。
調査団は30日夜に最終視察先の 色丹島 から出域手続きを行う国後島古釜布(ふるかまっぷ)沖に移動し、1日午前、えとぴりか船内でロシア側と総括会議を開いた。
会議には北方四島を事実上管轄するロシア・サハリン州のコジェミャコ知事ら州政府幹部、連邦政府の経済発展省副大臣らが出席した。
調査団は外務、経済産業などの省庁、道内を中心とした32の企業・団体関係者、根室管内の首長ら69人。6月27日に根室港を出発し、各島で漁業や観光、エネルギー、医療などの関連施設を視察した。

2017年07月01日
北海道新聞
[北方領土、経済活動絞り込みへ 長谷川団長「大きな可能性」]
北方領土での日ロ共同経済活動の具体化を探る官民調査団が1日、5日間の視察日程を終えて北海道・根室に帰港した。政府は今後、実現可能性のある事業の絞り込みに入る。調査団は国後、択捉など3島の漁業や観光、医療関連の施設など計64カ所を視察した。団長の長谷川栄一首相補佐官は記者会見で、ロシア側から日本の協力に期待が示されたと表明。「今後の展開について大きな可能性を感じている」と述べた。
長谷川氏は週明けに安倍晋三首相に結果を報告。視察を踏まえ、事業の採算性などの検討を進める方向だ。首相は7、8両日にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合の際にロシアのプーチン大統領と会談し、共同経済活動を巡る協議の加速を確認する。
ただ共同経済活動は、北方領土の領有権を主張する双方の法的立場を害さない「特別な制度」の整備が前提。開発と実効支配が進む中、ロシアは自国法令に基づく実施を主張しており、曲折が予想される。長谷川氏は会見で「調査によって、法的枠組みの議論を進める必要があると改めて認識した」と述べた。
調査団は6月27日に根室港を出発し、国後、択捉、色丹島の順で訪問。サケ・マスふ化場や 地熱発電所、ホテル建設地、病院などを視察した。北方四島を事実上管轄するロシア・サハリン州のコジェミャコ知事らロシア側関係者も同行。知事は一連の日程の中で、4島の持つ可能性を実現するには日本の協力が必要だとの考えを伝えた。
会見で長谷川氏は、ロシア人島民からは日本からの技術・サービスの導入や、ビジネス交流の拡大に強い期待があったと説明。「素晴らしい自然に観光資源としての可能性を感じた」としつつも「港湾や空港などのインフラやエネルギー供給体制には改善の余地がある」と指摘した。

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