2020年05月19日
リポート:北海道機船漁業協同組合連合会 原口聖二
[北海道隣接サハリン州 ニシン産卵行動確認情報等]
今年2020年春、別図のとおり、4月中旬サハリン南西部、4月下旬アニワ湾、そして5月上旬テルぺニア湾で、大規模なニシンの産卵行動(群来)が確認された。
一方、北海道留萌管内では同年4月中旬から5月上旬、当該産卵行動が確認され、漁獲量は前年比の20倍となっている。
2020年5月19日付北海道新聞は、日本海北海道沿岸のニシンについて、科学研究機関が、調査結果等から、4月に留萌管内で捕れたニシンは石狩湾系で、5月のものは昨年の傾向から見て北海道サハリン系の可能性が高いとみているものの、大幅な漁獲量の増加と、各地での産卵行動の背景は不明だと伝えている。
(2020年5月19日付北海道新聞【留萌】)
[留萌管内、ニシン漁活況 4月末時点、漁獲量前年比20倍 各地で群来、背景は不明]
管内のニシン漁獲量は今年、4月末現在で807トンにのぼり、前年同期比で約20倍と爆発的に増加している。それに合わせて、産卵により海が乳白色に染まる「群来(くき)」も沿岸各地で相次ぎ見られた。価格も1キロ350~430円ほどで、昨年に比べて約2割高い。漁獲量増について道立総合研究機構中央水試(後志管内余市町)は「石狩湾系」の分布が広がったとみているが、詳しい背景はわかっていない。
管内の群来は5月上旬までに、増毛町の雄冬漁港、苫前町の力昼漁港、留萌市の黄金岬周辺、三泊漁港などで確認された。ニシンが捕れていた1950年代前半以来といい、地元の漁業者も驚いたほど。小平町鬼鹿では2年連続で目撃されたほか、ここ数年見られているという留萌市の礼受(れうけ)漁港でも確認された。
留萌振興局産業振興部によると、昨年の管内ニシン漁獲量は4月末現在で41トン。今年の807トンはまさに「爆発的増加」(同水試)と言える。他地方の今年のニシン漁獲量(4月末現在)をみると、石狩管内は1755トンで、後志管内が562トンだが、ともに前年同期比で1・3倍にとどまっている。
一般的に、日本海沿岸のニシンは、石狩管内を中心に檜山管内から稚内沖まで広がる「石狩湾系」、日本海からオホーツク海や太平洋まで広く回遊する「北海道サハリン系」に分類される。明治から昭和初期まで道内沿岸を埋め尽くしたニシンは北海道サハリン系とされている。
中央水試は稚内水試を通じて増毛、羽幌、留萌、初山別で数百匹を採取。脊椎の骨の数やうろこの形状、産卵期の特徴を調べた結果、4月に留萌管内で捕れたニシンは石狩湾系で、5月のものは昨年の傾向から見て北海道サハリン系の可能性が高いとみている。
中央水試は「日本海沿岸で実施している石狩湾系の稚魚の放流や刺し網の目を大きくする資源管理の結果が漁獲量を下支えしている」と分析。しかし、今春に急増した理由ははっきりせず、「今後、詳しいデータをそろえて調べたい」としている。(吉川幹弘)
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