籾糠山から北アルプス眺望
今日、東海北陸自動車道が、全線開通した。
未開通区間の飛騨清見~白川郷間は、豪雪の山岳地帯を走るため、10本のトンネルや幾本もの谷をまたぐ橋の建設で、工事が難航していた。
日本で2番目に長い飛騨トンネルは、10年がかりの大工事で籾糠山をくり貫き、橋桁の高さが日本一の橋が山奥に忽然と出現し、辺りの風景が一変した。
今まで、高山から白川郷へは、国道156号線を利用して2時間以上かかったが、高速を利用すれば所要時間が半分に短縮される。
東海・北陸圏の経済効果や、生活圏の広がり、観光客の増加などの期待が大きい反面、国道を利用する車両は激減し、高速の谷間の過疎化が進んでいく。
3年前の秋、天生峠から籾糠山に登った時は、トンネル工事の真っ最中で、その時のレポートを次のように記していた。
「この直下1.000mを夢天生2000(トンネル掘削機械)が休むことなく掘り進んでいる現実と、山国の暮らしの落差に不思議な感慨を覚える。
都会と都会を結ぶ高速道路は、地方の山をくり貫き谷をまたぎ、そこに住む人たちの生活様式や自然環境を変えて通り過ぎていく。
山国の人たちは、飛騨の匠丁の頃から峠を越えて明日を築いてきた。
峠は越えてこそ、その価値があり、そこから文化も生まれる。
峠に棲む孤家の美人や匠屋敷の住人はもとより、その末裔の人たちも足元をくり貫かれ、さぞかし驚いていることだろう。」
高速道路は、今日も、光りと影の格差を広げながら伸びていく。