今朝の冷え込みは強く、朝の散歩に出かける時の外の気温は-12℃を指していた。
雪の降らない朝は、いつもより寒く感じる。
昨夜は晴れていたので、狭い盆地状の集落は、放射冷却の影響で、寒気がいっそう強くなったようだ。
障子の外側のガラス戸は、鋭い氷のとげで被われていた。
家の脇を流れる水路も、飛沫が氷の塊になっている。
「この寒さも節分までの辛抱やさ」と、近所のおばあさんに励まされたが、その日も間もなくだ。
節分を過ぎると太陽もいくらか高くなり、日照時間も長くなる。
降った雪も早く解けるので、ドカ雪に苦しめられることも少なくなるし、日陰だった場所も日が差すようになる。
山里の人たちは、座敷に入る陽光を、畳の目で読みながら、春を待つという。
先日、そのおばあさんが、雪の降る中で洗濯をしている姿を見て、春を待ちわびる人たちの気持ちが分かった。
吹きさらしの洗い場は、谷から水が引かれていて、野菜や農具などを洗うのに使う。
2漕式の洗濯機が置いてあり、たらいで下洗いをしてから、洗濯機を使っている。
野良仕事や牛の飼育をしているので、泥や糞で汚れた衣服は直接洗濯機に入れないとのことだ。
今はゴム手袋もあるし、木をくり抜いた舟で洗っていた頃に比べれば、ずっと楽だと言っていた。
風呂も便所も外で、さぞかし冬は寒いだろうと思うが、老夫婦にとっては、子供の頃からのことで、周りが思うほど不便を感じていないようだ。
山里には、暑さや寒さになじみながら、自然に寄り添って生きていく、昭和の暮らしが残っている。