●志望理由書の基本は以下のようなものである(自己推薦書でも同様だが)。
●未来の自分・世界←大学などの進学先←自分の考え(抽象)+経験(具体)
●抽象、具体の部分が志望理由書の肝心なところである。
●しかし、いや、つまり、経験値が低いと書きにくいのである。
●昔、非常に素直で人の良い生徒さんが個別指導でいらっしゃった。
●第一回の授業で最初の志望理由書が残念なできだった。
高校三年間の部活動(バレー部の非レギュラーだったかな)について書かれていて唐突に「××大学電気(「電子」だったかもしれん)工学科を志望します」で終わっていたのである。
●進学する理由を聞くと祖父様が工場を持っていらして、孫である生徒さんを跡継ぎに”どうしても”したいとのことだった。
”どうしても”ということは少々のことをしても予算はあるだろう。
個別指導で国語(志望理由書作成)と物理(基礎学力試験対策)を取られていたのだから。
●電気(「電子」だったかもしれん)工学科につながる経験は全くなく(物理ぃゃ理科が苦手)、なんとかせにゃいかんなと私が悩んだのである。
そこで名案を思い付き、明日、祖父様からお金をいくらかもらってくるようにとお願いした。
●昼休みに紀伊国屋書店に一緒に向かい2年前に販売されていた『学研 電子ブロック』を購入し、指導室へ。
●途中、物理の先生と会い、打ち合わせをする。物理の先生にとってもいい教材で助かるとのこと。
●志望理由書の流れの確認。
「最終目標は?」「祖父の工場を継ぐこと」「ということで必要なのが?」「電気(「電子」だったかもしれん)工学科へ進学する」「それまでの高校生活で得たものは?」「特にありません」「そこが問題なわけだ」
●「今日は高校一年生。OK?」「え?」「今日は高校一年生のつもりでいくよ。『電子ブロック』を開けてみて。どう感じた?」「なんかわくわくします。いろいろなものが作れるんですね。部品もかっこいいです」「学校では~~(以下略)」
●「今晩は高校二年生になっておいて」「はい?」「祖父様に工場を見せてもらって。何を作っているかを確認することと、わくわくした感覚を忘れないこと」「はい!」
●こうして高校2年間を作ったわけだ。
●ポイント
ないのなら
作ってしまへ
過去の自分
<付記>
・一年に一つか二つの経験で十分。
・その(作った)体験が何を意味しているかを考えることが重要。
・新しい視点が入手したきっかけになっていること。
・3年生、志望大学、学部、学科に合った経験であること
・なんでもよいから大学の先生に語れる可能性はないかを探すこと。嘘をつかない経験になる。
上の例としてアイドルのコンサートに行ったことをあげた生徒がいる。
「イベント」というキーワードを具体化し、かつ、「イベント」の働きを導き出している。また、学校外に友人が多いアピールにもなっている。
・今からでも何かしてみよう。あるいは、日常に何かないか探そう。散歩ですらネタになるかもしれない。
以下、
『小論文「環境問題」』解説より(この解答・解説も必読。高度化=大学に通用するということが何かのヒントがある)
諸君に強調したいのが、日常の大切さである。通学で寄り道とかしたことはないか。そのときに多くのことを感じるようにしておこう。このあたり蔵が多いな。蔵の入り口の鯉の彫刻が見事だな、これはなんだ、Siriに聞いてみよう。Siriが答えられない時は思い切って、その家の人に聞いてみよう。面接や自己推薦書で自分が積極的な人物であることの具体例として十分なエピソードだ。「こて絵というのか。なるほど」なんて感じに道を歩くと具体的な知識が身につく。まさに「身につく」のだ。身体的な知識になる。これは参考書だけで、そして、インターネットだけで知った知識とはレベルが違う。
その寄り道ですら「散歩」である。
そして、「散歩」ですら小論文に活用できるというのを知っておいてほしいのだ。具体例が自分の経験から出る場合もあるということを知っておこうではないか。
※2022-06-10の記事を増補した。
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