旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

1992年のモンゴルへ~ホルホグ 羊を草原で屠殺し、料理する

2020-08-16 11:27:20 | モンゴル
1992年モンゴルの旅より ホルホグは命をいただいているのだと知る料理

羊の胸に小さな切り口をつくり、そこから腕を差し込んで指で大動脈を切る。
血が肺にまわり短時間で絶命させることができる。口から血が出ないようにしっかりおさえる。
大地に血を落とさずに殺すのはその命に敬意を払う方法とされている。

口をおさえているのは我々のガイドをしてくれたガルタさん。
大卒であろうと、モンゴルの男は羊をさばけないと一人前とみとめられないのだそうだ。

まるで服を脱がせるようにつるつると毛皮をはいでゆく。
小さなナイフを自分の手のように自在に使えるからこんなに簡単そうに見えるのだろう。

肉をきれいにとりわけ、内臓をひらく。
血はバケツにすくってソーセージの材料にする。
骨も昔から遊具に使ってきた。

羊をさばいている一方で、川から拾ってきた握りこぶしぐらいの石をたき火で焼いておく。
新鮮な肉を調味料・香辛料と混ぜ、ミルク缶の中に、焼いた石と交互に入れてゆく。

剥いだ皮の一部をつかってミルク缶を密閉し、ゴロゴロところがす。
焼けた石が肉を調理する圧力鍋状態。

ホルホグは遊牧民にとっていちばん大事な家畜を一頭提供する御馳走。
遠来の客がやってきた時などに出す特別料理だ。

「できたかなぁ~」

おそるおそる食べてみたが、びっくりするほど美味しい!
盛り付けや彩といった日本の食文化と対極にあるような料理だが、脂がたっぷりで羊の臭みはほとんど感じない。
まさにモンゴルの草原でなければ成立しない料理を体験することができた。


2008年のモンゴル再訪時、忘れられなかったホルホグを料理してもらった。
味は同じように美味しいと感じたのだが、自分の肉体が同じように食べられる若さではなかった。
※後にこのブログでごらんいただけるようにいたします
コメント
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