行き道、
自転車、
田、
脚の細い、
くちばしが黄色い、
鳥。
屋根に梯子を鰍ッて、
のぼってゆく人。
暑さ、影探すけれど、なし、
氷を挟み、
息を出す
6月、7月、8月、9月が、
夏だという。
「以前は、6月なんて、9月なんて」
と、
口々に言う、
昭和生まれの民の歌
僕の住んでいた住宅は、
垣根が珊瑚樹で、
虫がいたので、
夏休みになると、
害虫駆除として、
撒布車が、
路地をゆっくり、
素早く走る。
白い粉を噴射しながら。
僕と兄は、
犬を部屋の中に入れ、
池に、
風呂釜の蓋で、
蓋をして、
金魚が死なないように、
工夫した。
保健所がわけのわからん白い粉を、
噴射する日時が、
事前に通達されて、
その日、その時刻になると、
僕らは、恐浮ニ好奇で、
その様を窓から見ていた。
「来た」
トラックのエンジン音と、
噴射するためのモーターの
爆音が近づくと、
あたりが真っ白になった。
その白が沈殿するまで、
僕らは、家に避難して、
外出する機会を、
狙っていた。
外から、
子の声が聞こえるのが、
その合図。
出ると、
珊瑚樹の葉の面は、
白い粉が積もっていた。
アレは、
猛毒ではなかったか!?
昭和40年代。
強くて美しいフォークソングが、
聞こえていた。
自転車、
田、
脚の細い、
くちばしが黄色い、
鳥。
屋根に梯子を鰍ッて、
のぼってゆく人。
暑さ、影探すけれど、なし、
氷を挟み、
息を出す
6月、7月、8月、9月が、
夏だという。
「以前は、6月なんて、9月なんて」
と、
口々に言う、
昭和生まれの民の歌
僕の住んでいた住宅は、
垣根が珊瑚樹で、
虫がいたので、
夏休みになると、
害虫駆除として、
撒布車が、
路地をゆっくり、
素早く走る。
白い粉を噴射しながら。
僕と兄は、
犬を部屋の中に入れ、
池に、
風呂釜の蓋で、
蓋をして、
金魚が死なないように、
工夫した。
保健所がわけのわからん白い粉を、
噴射する日時が、
事前に通達されて、
その日、その時刻になると、
僕らは、恐浮ニ好奇で、
その様を窓から見ていた。
「来た」
トラックのエンジン音と、
噴射するためのモーターの
爆音が近づくと、
あたりが真っ白になった。
その白が沈殿するまで、
僕らは、家に避難して、
外出する機会を、
狙っていた。
外から、
子の声が聞こえるのが、
その合図。
出ると、
珊瑚樹の葉の面は、
白い粉が積もっていた。
アレは、
猛毒ではなかったか!?
昭和40年代。
強くて美しいフォークソングが、
聞こえていた。