道にしゃがんで
男が苔を取っていた
ビニール袋に入れていた
男の頭上は桜のつぼみ
桜のつぼみの頭上には
青、白、太陽
地に草が立ち
雨上がりで喜んでいる
慈雨は彼らの頭上から注いでは
葉茎を伝って地下に行き
土を潤し
その雨を吸う
道にしゃがんで
男が苔を取っていた
ビニール袋に入れていた
水仙の花が傍らにあり
苔と桜とみんながおしゃべり
騒がしい
ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ
騒がしい
彼らの声が人に聞こえないのは
あまりにもうるさくて
煩わしいからだ
地に立つものたちわたしたち
そんなふうにできている?
そんなふうにできている