kotoba日記                     小久保圭介

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       『枝は犬』

2023年06月08日 | 生活詩
 『枝は犬』




水は流れた

春に
枝は出て
初夏の前
梅雨だ

『水光』になり
葉は伸び
大きくなって
夏の盛りの日だって
見えるだろう

地球の痛みもなく
草木
盛り樹は
ふついに大きくなっていく


四年も前
空に帰った人

夢の中もちっとも出なかった人が
やっと夢に出てくれて話をしたよ
うれしいよ

その人が空に帰ったことも知らずに
ずっと後から
彼のこと
人から聞かされた

いつでもよく彼のことを思っていた
うれしいのことや
今でも心の中に
宿っている

道路

黒い犬

私を見た
私も 黒い犬を見た
昼下がり
腰を下ろした
黒い犬が私を近くに寄ってきた

手で黒い犬を寄せて
黒い犬も私を寄せた 
手で触って黒い犬も
懐かしい心を
二人
話をした
「うれしいね」
「うれしいな」
一分か二分、三分

主人の奥さんが犬に言った
「強く止まって、こんなの、初めてです。変な感じで」

黒い犬

「私も犬ってあまり好みじゃなかったんですだけどね、不思議です」

黒い犬と奥さんと
散歩道を
帰っていった

『水光』

草と木を見た

枝はまた
枝になり
葉の万に
なって
生きている

道路も
街も消えてゆき
黒い犬も
消えてゆき
声も会話も
消えてゆき
花もいずれ
消えてゆく

私たちは
太陽の音になって
草の音に
動いて作っていたかもしれず、
実は
犬も
枝も
草も
私も
みんな
動いて
生きているのだ



(作中『水光』は造語です)


コメント
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