kotoba日記                     小久保圭介

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若草、よもぎ、うぐいす色

2022年04月09日 | 生活

         

釈迦の里

葉桜

池の下の階段を降り

門に立つ

光晴先生は言う

「若草、よもぎ、うぐいす色」

風の四月

ふきを持った女

東へ向かった

ーーー

ハインさん

ベトナムはホーチミンから

三十六歳 奧さんと娘二人を故郷に

日本で五年目

パンデミックで

感染者数 一位は中国 二位はベトナム と言う

ずっと帰れず

在日外国人は

祖国の家族と

Facebookや動画通信サイトで

毎晩

画面越しで会い 話す

涙もある

わたしたちは祖国 日本にいて労働をしているけれど

もしも外国で低賃金 二段ベッドで4人の共同生活

朝早くからバンに乗って

知らぬ街の労働場で言葉が通じぬ人たちと過ごし

懸命に夜は資格習得の勉強をして

過ごして

帰ろうにも契約年数の消化があり

パンデミックで帰郷もできぬとなったら

どうだろうか

相手の立場になって考える訓練を怠ってきた

わたしたちは

彼らを知らずのうちに傷つけてはいないだろうか

ハインさんは言う

「夏はベトナム、38度、39度、40度」

ハインさんに限らず

たいていの在日外国人労働者は

話しかけるとうれしがってくれる

笑顔でいろいろ答えてくれる

悲しい話と寂しい話

酷い話は一切せず

家族の写真を見せてくれたり

日本の「ヤキニクがスキ」と笑ったり

「ニホン、ナツ? アツイ!!」

と大きく笑う

労働場で笑顔を忘れていることに

彼らは話していて気づく

時に動画サイトで夜

4000キロ離れた故郷の家族に

わたしと話したことを

話題にしてくれているのかもしれない

 

風の四月

若草、よもぎ、うぐいす色

 

 

 


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