2016年1月に運用が始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利用範囲を広げる改正マイナンバー法と、改正個人情報保護法が9月3日の衆院本会議で、与党や民主党などの賛成多数で成立した。
改正マイナンバー法は2018年から金融機関の預貯金口座にマイナンバーを適用することが柱。
日本年金機構の個人情報流出問題を受け、マイナンバーと基礎年金番号の連結は延期した。
マイナンバーは、日本に住民票を持つ全ての人に12桁の番号を割り振る制度。
10月から国民への通知が始まる。
行政機関などは、納税や社会保障給付に関する情報をマイナンバーで一元的に把握できるようになる。
改正マイナンバー法では、マイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)にも拡大。
預金口座へのマイナンバー登録は預金者の任意とし義務付けは避けたが、登録により税務当局や自治体は、脱税や生活保護の不正受給を減らせると見込む。
また、メタボ健診や予防接種の履歴情報とマイナンバーを結び付けると、引っ越しや転職をした場合でも、自治体や健康保険組合の間で健診情報を引き継げる。
改正個人情報保護法は、蓄積された膨大な個人情報をビッグデータとして企業が利用しやすくする一方、不正な利益を得る目的で情報提供した者に対する新たな罰則を設けるなど個人情報の取り扱いを厳しくした。
人種や信条といった「要配慮個人情報」は、本人の同意を得て取得するよう義務付けた。
改正法の成立を受け、立ち入り調査権を持つ「個人情報保護委員会」が来年1月に新設され、企業や自治体の情報管理を監視・監督する。
個人が特定できないよう加工したデータは、企業が活用しやすくなるようルールを明確化したが、プライバシー保護が万全か不安視する声も上がっている。
一方、個人情報の漏えい事件が相次ぎ、国民の不安が高まっていることを踏まえた改正だが、報道など公共・公益目的の情報提供が当局から不当に制限される恐れもある。
報道への配慮を明確にするよう求めてきた日本新聞協会は9月3日、「主張が受け入れられないまま改正案が成立したことは遺憾だ」との談話を発表した。
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