文部科学省の委託調査で、不登校の要因を巡り、子どもと学校側の受け止めに大きな隔たりがある現状が明らかになった。
不登校の小中学生が30万人に迫る中、いかに学校が子どもの本音を引き出し、適切な支援につなげるか。
国や自治体のサポートに加え、学校現場の意識変革も必要となる。
調査では、不登校の要因を「友人関係のトラブル」とした子ども側が24・8%だったのに対し、学校側は8ポイント以上低かった。
「いじめ被害」ではさらに差が広がり、子どもの内心が学校には見えにくい実態が表面化した。
この生徒は当初、なぜ学校に行けなくなったのか心の整理が追いつかず、苦しさを1人で抱え込んだ。
フリースクールに通い始め、安心できる環境で時間を過ごす中で、要因を客観視できるようになったという。
文科省の問題行動・不登校調査(2022年度)で、小中学校の不登校は29万9048人となり過去最多を更新した。
同調査は要因を学校側だけに尋ねており、「無気力・不安」が51・8%と半数を占めた。
「いじめ」は0・2%、「教職員との関係を巡る問題」は1・2%にとどまった。
文科省は不登校支援として、空き教室を活用した「校内教育支援センター」やオンライン授業などの環境整備を進めるものの、ある幹部は「『無気力・不安』に至る要因を把握しないと、子どもの気持ちに添った対策につながらない」と語る。
「教職員への反抗・反発」など、学校に起因する項目ほど学校側の値が小さくなったのも、今回の委託調査の特徴だ。
東海地方の公立小の養護教諭は、その背景に、担任との一対一の関係では子どもが「学校が嫌だ」といった本音を話しづらいなどの「構造的な問題がある」と話す。
この養護教諭が「保健室登校」の児童と話をすると、担任との関係やクラスの居づらさなどを打ち明けられることがあるという。
何に困っているか言語化できない子には時間をかけて向き合い、言葉を引き出す必要があると説明する。
養護教諭は、担任が1人で対応するのではなく、学校内で情報を共有し、教職員が「自分の見方や接し方が全てではない」と認識できる仕組みの構築が重要だと指摘。
「自分のことを本気で考えてくれる大人がいるという経験が、子どもが前に進む原動力になる」とし、委託調査の結果が学校現場の変化のきっかけになることを期待した。
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