参院は9月18日午前から9月19日未明の安全保障関連法成立までドタバタを繰り返した。
野党は本会議で長時間の演説で議事進行を妨害する「フィリバスター」を展開し、採決では投票を遅らせる「牛歩」も繰り出した。
「良識の府」であるはずの参院で、ルール違反が横行した。
生活の党と山本太郎となかまたちの山本参院議員は9月19日未明の安保関連法案の採決時、投票箱のある壇上に進むと立ち止まり、「米国と経団連にコントロールされた政治家は辞めろ!」と叫んでから、そっと事務方に青票(反対)を手渡した。
複数の野党議員も投票する際、壇上で「戦争法案、反対!」などと大声で叫んだ。
山崎議長が可決を宣言すると、本会議は「憲法違反」コールに包まれた。
民主党山本氏は、9月18日夜の鴻池参院平和安全法制特別委員長の問責決議案の採決の時、名前を呼ばれても自席から立ち上がらなかった。
山崎議長が「投票漏れはございませんか?」と呼び掛けると、確信犯的に「はい!」と右手を挙げて立ち上がった。
そして、のろのろと投票箱に向かう牛歩を展開。
山崎氏は何度も投票を促した後、「あと1分で投票しないと投票箱を閉鎖します」。
その声は疲労と怒りでかすれていた。
安保法成立後、牛歩を繰り返したことについて記者団から「幼稚ではないか」と問われると「幼稚? ありがとうございます。 (安保関連法の)中身を知っていくステップになる」と悪びれずに語った。
鴻池氏に対する問責決議案の審議では、民主党の小西参院議員が25分間のはずの趣旨説明を1時間近く続行。
山崎氏が何度も警告したが、小西氏は無視。
民主党の議院運営委員会理事もやめるように耳打ちしたが、小西氏は応じず、与党からは「ルールを守れ」などのヤジが飛んだ。
民主党の福山幹事長代理は安保関連法案の討論で、自民党側からの「お前の質問はいつも同じだ」というヤジに対し「僕の質問の議事録を読んだのか!」と気色ばんで反発。
最後は「武士の情けはないのか。黙って聞け」と泣き落としともいえる情緒的手法で持ち時間を超える演説を行った。
ルール違反は傍聴席にも及んだ。
民主党小西氏の趣旨説明中には民主党の辻元政調会長代理ら女性議員が、着用が禁じられているハチマキ姿で登場し、衛視に注意される一幕もあった。
ただ、そうした野党の増長を与党が許した面も否めない。
自民党の衆院側は、遅くとも9月18日中の成立を目指していたが、参院側が野党に配慮。
9月18日未明にわざわざ8時間の休憩を入れて成立をずれこませ、野党を勢いづかせたからだ。
自民党の佐藤国対委員長は成立後、記者団に不満をぶちまけた。
「良識の府である参院で民主党や共産党まで時間オーバーしたことはいまだかつてない出来事だ。 ルールにのっとった国会運営が非常に大切だ」
「強硬採決だ」と大騒ぎする民主党は、かつて何本の法案を強硬採決したのだろうか。
民主党小西氏が鴻池委員長にダイブするのにはあきれかえるが、自民党の佐藤国対委員長の一発で沈没したのは大笑いだ。
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