国立社会保障・人口問題研究所の地域別推計人ロは、各地で働き手が激減する厳しい将来像を突き付けた。
労働力が先細りする中、地域の産業をどう持続、成長させるのか。
ロボット技術や外国人労働者に活路を見いだし、人手不足の克服に向けた挑戦が広がっている。
昨年5月、宮崎県延岡市の水田を全長約60センチの鳥型ロボットが駆け回った。
水中の泥を巻き上げ、光合成を抑えて雑草の発生を防ぐのが役目。
ロボットメーカー「テムザック」と延岡市が連携して始めた最先端技術による「スマート稲作」の実証実験だ。
ドローンで上空から種もみをまき、水位や水温を自動測定してスマートフォンで確認できる機械も導入。
秋の稲刈りは手作業で行つたが、約10アール当たり400キロ弱のコメが取れた。
従来の手法と比べて収穫量は8割程度だが、苗作りや見回りが省け、労働時間は大幅に削減できたという。
同社の瀬戸口常務取締役は「新しい世代に農業をしてもらうには、手間のかからない方法が必要だ」と説明する。
戦後増え続けた15~64歳の生産年齢人口は、1995年の8716万人をピークにマイナスに転じ、2022年は7421万人。
社人研の推計によると、2050年は5540万人まで落ち込む。
影響は既に出始めている。
帝国データバンクの調査によると、人手不足を原因とする倒産は2023年に260件あり、比較できる2013年以降で最多。
残業規制が強化される「2024年問題」に直面する建設や物流の廃業が目立った。
別の調査では、宿泊や情報サービスでの不足も顕著だった。
いかに人材を補うか。
ロボットなど先端技術に加え、企業や自治体は外国人労働者に熱視線を送る。
厚生労働省によると、昨年10月末時点で過去最多の205万人に上り、今後さらに増加が見込まれる。
静岡県はモンゴルとインドネシア、ベトナム、インドを対象に、技術者やプログラマーなどの専門人材を誘致する事業を展開する。
現地やオンラインで県内企業の面接会を開き、2022年度の内定者は計50人に上った。
「日本人の採用競争が激しくなり、海外人材を求める声が企業から強まった」と県担当者。
現地に進出する事業所の幹部候補と見込んで採用するケースもあるという。
課題は受け入れ環境の整備だ。
企業文化や生活習慣の違いから職場になじめず、離職に至るケースも多い。
群馬県は、外国人材を積極的に登用したり、サポートを充実させたりしている優良企業の認証制度を創設。
昨年8月には企業や群馬労働局、大使館などとの連携組織を立ち上げ、労働環境や生活面を巡る課題の解決に乗り出した。
県担当者は「単に来てもらうだけでなく、能力を発揮し、活躍してもらえる環境をつくりたい」と力を込めた。
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