北アルプスに生息する国の特別天然記念物のニホンライチョウが、地球温暖化の影響で今世紀末に絶滅する恐れがあると、長野県環境保全研究所などが7月10日発表した。
餌となる高山植物や営巣場所となるハイマツの減少により、生息に適した環境が2100年までにほぼ消滅すると考えられるとしている。
温暖化が生物の生息環境に深刻な影響を与えることが鮮明になった。
ライチョウは1980年代に約3000羽が南北アルプスなど高山帯に生息していたが、2000年代初頭に約1700羽に減少。
同研究所はほかの機関と‥2011年から8年かけて、北アのライチョウの実態を調査した。
その結果、生息には、(1)キツネやテンといった天敵から身を守り営巣できるハイマツ、(2)雪渓に残る雪が解けた後に生える餌となる高山植物、(3)風の当たる場所にあり餌となる高山植物の三つがバランス良く存在することが必要だと分かった。
その上で、現在のように化石燃料と自然エネルギーを併用しながら経済成長を重視した二酸化炭素(C02)排出シナリオをもとに、24パターンの気候モデルを組み合わせて北アルプスの状況を予測。
高山植物が激減し、ライチョウの生息域が今世紀末には現在の面積の0・4%になるとの見通しが明らかになった。
ライチョウが生息できる高山帯は孤立していて逃げ場はない。
絶滅を食い止めるため北ア以外の生息域も調査し、環境省などに情報提供する予定だという。
研究論文の著者で同研究所自然環境部の堀田部長は「地球温暖化がライチョウに与える影響は予想より深刻で危機的な状況だ。 この研究が一人でも多くの人に温暖化について考えるきっかけになってほしい」と話している。
研究には他に森林総合研究所、東京農大、高知大が参加した。
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