
電車に乗り込んで、たった今飲んだビールを反芻した。「ヱビススタウト クリーミートップ」は鼻に突き抜けるスモークの香りが今も鼻腔に残っている。また、「ヱビス琥珀」のアンバーが曇りそうなわたしの心を拭い去ってくれた。その注ぎ方も絶妙であったし,金色のタワーに絡まるように、繊細な指先が織り成すマジックのようなビールの注ぎを見ているだけでも、それぞれ650円と550円の価値はあると思った。
わたしはすっかりもやもやとした気持ちを忘れることができた。
この日、わたしはかねてより仕事をいただいていた丸の内の某社を訪れた。
ただならぬ呼び出しだったが、予想通り、委託されていた情報誌の打ち切りを告げられたのだった。この会社の合併がある前から作成させてもらっていた情報誌に携わって約10年が経とうとしていた。物理的にもハードだったが、メンタル的にはかなりハードな仕事で、特に合併後国内最大手の規模となってからと、編集部がわたし一人となり、単独で仕事を受ける立場になってからは、重圧が増した。
本の内容は、その会社の性格上、固有名詞を出すことが許されず、当たり障りのない話題をテーマをとしたため、とりたてて面白いものではなかったが、大学生が入社したい企業のトップ3に必ずランクインするこの会社との仕事はわたしを成長させてくれるに充分なものであった。
先述したように、当たり障りのない内容だっただけに、あまり必要性が感じられなかったのか、10月に発行する号をもって休刊になることを告げられた。
担当者も情報誌を作る熱意は感じられず、作ることが目的となっていた部分を感じていたし、いつか終わる日が来ることは覚悟していた。
だが、休刊という形での終了にはがっかりした。
和田倉噴水公園で噴水を見ながら、しばし心を落ち着け、ビールでも飲もうかと思い、ビールがおいしい「barBAR TOKYO」に足を向けてみると、その向こうに「YEBISU BAR」があるのを見つけた。つい、数ヶ月前まではこんな店はなかったのにと思いながら、わたしはこの店に入ってみることにした。
えび茶の壁の店内がわたしの目に飛び込んできて、わたしはすぐ心のもやもやが晴れていくのが分かった。
とても落ち着いた雰囲気である。
ビールメーカーの直営系の店だとどうしても「kirin city」と比較してしまう。比べることは無意味だと思うのだが、どうにもいけない。
食材の産地が分かるメニューが並ぶが、メニューの数が多い。
「北海道士幌産馬鈴薯“おとなのポテトサラダ”」(550円)から「鹿児島県産 きびなごのスパイシー揚げ」(600円)まで日本のいたるところの名産の料理が集まっている。そのメニュー表を繰っているだけで楽しくなってくる。
わたしが頼んだものは「ソーセージ盛合せ」、3種で「1150円」。
好きなものを選べるという国産ソーセージを、わたしはピリ辛チョリソー、北海道産ポークソーセージ、かごしま純粋黒豚のソーセージのチョイスとした。
どんなものを食べてきた豚なのか、香ばしい香りが口の中を包む。すっきりとした味のソーセージが、ビールを喉に流す流れを止められない。
次に「ヱビス琥珀」(550円)を頼んでしまった。
これは以前、缶で発売されたことがあるが、生は初めて。しかも、これがわたしにとっては決定的だった。
おいしすぎる。
キリンの黒ビールはスタウトしかないが、ヱビスはビールが豊富。少数精鋭もいいが、サッポロの場合、いろんなチャレンジをしてきたという証だろう。
わたしの抱えていたもやもやをきれいすっきりと流してくれたのが、この一杯だった。
電車の車窓から見える街の灯りを見ながら、「そろそろフリーになるのも悪くはないかな」ってわたしは思った。
わたしはすっかりもやもやとした気持ちを忘れることができた。
この日、わたしはかねてより仕事をいただいていた丸の内の某社を訪れた。
ただならぬ呼び出しだったが、予想通り、委託されていた情報誌の打ち切りを告げられたのだった。この会社の合併がある前から作成させてもらっていた情報誌に携わって約10年が経とうとしていた。物理的にもハードだったが、メンタル的にはかなりハードな仕事で、特に合併後国内最大手の規模となってからと、編集部がわたし一人となり、単独で仕事を受ける立場になってからは、重圧が増した。
本の内容は、その会社の性格上、固有名詞を出すことが許されず、当たり障りのない話題をテーマをとしたため、とりたてて面白いものではなかったが、大学生が入社したい企業のトップ3に必ずランクインするこの会社との仕事はわたしを成長させてくれるに充分なものであった。
先述したように、当たり障りのない内容だっただけに、あまり必要性が感じられなかったのか、10月に発行する号をもって休刊になることを告げられた。
担当者も情報誌を作る熱意は感じられず、作ることが目的となっていた部分を感じていたし、いつか終わる日が来ることは覚悟していた。
だが、休刊という形での終了にはがっかりした。
和田倉噴水公園で噴水を見ながら、しばし心を落ち着け、ビールでも飲もうかと思い、ビールがおいしい「barBAR TOKYO」に足を向けてみると、その向こうに「YEBISU BAR」があるのを見つけた。つい、数ヶ月前まではこんな店はなかったのにと思いながら、わたしはこの店に入ってみることにした。
えび茶の壁の店内がわたしの目に飛び込んできて、わたしはすぐ心のもやもやが晴れていくのが分かった。
とても落ち着いた雰囲気である。
ビールメーカーの直営系の店だとどうしても「kirin city」と比較してしまう。比べることは無意味だと思うのだが、どうにもいけない。
食材の産地が分かるメニューが並ぶが、メニューの数が多い。
「北海道士幌産馬鈴薯“おとなのポテトサラダ”」(550円)から「鹿児島県産 きびなごのスパイシー揚げ」(600円)まで日本のいたるところの名産の料理が集まっている。そのメニュー表を繰っているだけで楽しくなってくる。
わたしが頼んだものは「ソーセージ盛合せ」、3種で「1150円」。
好きなものを選べるという国産ソーセージを、わたしはピリ辛チョリソー、北海道産ポークソーセージ、かごしま純粋黒豚のソーセージのチョイスとした。
どんなものを食べてきた豚なのか、香ばしい香りが口の中を包む。すっきりとした味のソーセージが、ビールを喉に流す流れを止められない。
次に「ヱビス琥珀」(550円)を頼んでしまった。
これは以前、缶で発売されたことがあるが、生は初めて。しかも、これがわたしにとっては決定的だった。
おいしすぎる。
キリンの黒ビールはスタウトしかないが、ヱビスはビールが豊富。少数精鋭もいいが、サッポロの場合、いろんなチャレンジをしてきたという証だろう。
わたしの抱えていたもやもやをきれいすっきりと流してくれたのが、この一杯だった。
電車の車窓から見える街の灯りを見ながら、「そろそろフリーになるのも悪くはないかな」ってわたしは思った。
会社とは2013年も契約しました。
でも、来年はどうなることか。
やりたいこともあるし。