早速ビールをのど元に流して、ぼくは絶句した。
ビールの銘柄が変わっているからである。
なに?これまでの「一番搾り」から「プレミアムモルツ」へ鞍替えしたというのか。
一体何があったというのか?
キリンが粗相を犯したか?
それとも店主西田眞さんのご乱心か?
ハイボールの取引でビールの仕切りをサントリーは下げたのか?
或いは、純粋に串焼きに強烈なホップの香りのビールが合うと判断したからか。
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注文した「モツ煮」がいただけなかった。
水っぽくて、味が薄いのである。
「あぁ。」
思わず、ボクは天を仰いだ。
これはとんでもない店に入ってしまったと後悔した。だが、雨は相変わらず降り続いている。
ケータイの画面に目をやるとメールはまだ来ていない。
まだ、しばらくこの店にいなければいけない。
「あぁ。」
ボクはまた天を仰ぎ、ため息をついた。
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この店に入って失敗だったと思った。
だが、今外に出てしまえば黄色い街に飲み込まれ、跡形もなくボクは焼き尽くされてしまうだろう。
或いは、踏切の警笛に誘われ、エメラルドグリーンの車両に押しつぶされてしまうかもしれない。
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もう何も見たくないし。
何も聞きたくない。
そして、もう何も語りたくないと思った。
いつか辿り、いつか思ったことをまた同じようになぞっている。
うちのめされながら、のたうちまわる様に思いを振りきるのかと。
或いは振り切れるのかと。
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「シャリ金」の味わいはさすがだった。暦の上ではもう秋とはいえ、この日の東京は35℃の猛暑日となった。夜はいくらか気温は下がったが、それでもまだ暑い。このシャーベット状のホッピーのジョッキを通して伝わってくる爽やかな涼が心地よい。そして、口の中でべたつかないキンミヤがまた素晴らしい。 . . . 本文を読む
ただただうつむくだけの時間がとめどなく躰をすり抜けていく。
あなたに、いっぱい伝えたい。
でも、でもね。
言葉がひとつになっていかない。
なんでだろう。
おびただしい言葉があるのに、何故か文章は進まない。
おびただしい言葉が縦横無尽に頭の中を突き抜けていくのに。
だから、ボクは今もあなたの存在の前に立ちつくすだけ。 . . . 本文を読む