店のざわめき、厨房の調理の音、テレビの音声、客の笑い声が白々しくなんとなく落ち着かない。メニューを繰る。串焼きもあれば串揚げもある。今どきの店のようである。
つまみに「煮込み」(300円)を頼んだ。やたらと出てくるのが遅く、それだけでも興ざめしたが、味は塩味で洗練された感じではあった。だが、あえて言うとすれば、店舗も雰囲気もメニューも味もなんだか浦安にはいずれも似つかわしくない。これがまだ新浦安ならばまだ話しは違うのだが。
. . . 本文を読む
バンコクのルンピニ公園で見た風景を思い出した。
ボクは暑さとスモッグに逃れ、一人公園のベンチに座った。夕暮れの乳白色の空を眺めながら、タバコを吸っていると、どこからともなくしゃぼん玉が飛んでくる。それも一際大きく、鮮やかな虹色に反射している。
ゆらゆらと揺れながら、幾何学的な動きを刻み、微かに吹き抜ける風に乗っている。数秒するとパチンと壊れてしまうのだが、またどこからともなく飛んでくるのだった。
. . . 本文を読む
4年前にボクはこの店を東京の立ち飲み最東端と書いた。だが、GOOGLE地図で見ると、葛西の東にはまだ小岩があって、一之江があって、新柴又がある。最近、一之江には行ってないし、新柴又には降り立ったことがないから、そこに立ち飲み屋があるのかは知らない。
だが、少なくとも自分の知る限りでは、小岩の地蔵通りにある「くら」の方が若干東にあるように思う。したがって「東西」が最東端ではなかった。
. . . 本文を読む
取材に基づき、小説に再構築とした本作こそジャーナリズムに迫っていると感じざるをえない。 劇中にたびたび登場する大手新聞社と主人公と二項対立を浮き彫りにする広報部長の行天四郎の設定は、もしかすると著者が御用ジャーナリズムを痛烈に批判したいという意図があったのではないだろうか。 何が正しいのか、そして何が間違っているのか。ぼくらはもうあらゆるものに麻痺をしてしまい、もう上も下も右も左も分からない。 だからとにかく打ちのめされた。 自分の仕事がたまらなくみすぼらしく感じるほど、ただただ打ちのめされた。 . . . 本文を読む
なべちゃんとは渡辺さんなのか。ライオンズの黄金期のエースであり、現監督のナベQこと渡辺久信氏と同じ姓なのか。或いは、やはり黄金期を支えた田辺徳雄のなべちゃんなのか。いずれにせよ、なべちゃんとは西武ライオンズらしいと言わざるをえない。
. . . 本文を読む
ボクは目を疑ったよ。
洗い物をしている子が着ているTシャツは少し大きめだったのだろう。首の部分が大きく開いて、弾けんばかりのおっぱいが見えるのである。ボクは思わず口にふくんだホッピーを吹き出しそうになったね。白く巨大なおっぱいが洗いものをする動きでいやらしく躍動している。しかも、その子はとびっきりのかわいこちゃんときてる。
ボクはもうガン見だったね。多分、瞳孔も開いていたと思う。まさに立ち飲みだった。 . . . 本文を読む
蝉時雨が緑の木々の間をすり抜け、心の中に染み入るようだ。
透き通るような葉のざわめき。
23区にもこのような風景があったのだしみじみと思う。
空は広く、森閑な空気がこのリラクセーションルームにも伝わってくる。 . . . 本文を読む
だが、店頭からはもはや人がはみ出し、店内をうかがうと細長い店にびっしりと人が埋め尽くされているのがみえる。
ここでひるんではいけない。
「入れる?」と店のおばちゃんに大声で声を掛けると、「一人なら入れるわよ」と返ってきた。
ボクは頷き、カウンターだけの狭い店内を、人をかきわけ、ようやく猫の額ほどのスペースに辿りついた。 . . . 本文を読む