アキバの喫茶店は、だいたい制覇したと思っていた(メイドカフェ除く)。けれど、アキバの隅々を改めて歩くと思いがけず、まだ見知らぬ純喫茶を見つけることがある。
「珈琲 庵」もそんな店だ。
アキバの四隅。南東側にある、この喫茶店はとにかく目立たない。人の通りからも外れた小路にたたずんでいる。音と色彩の刺激が強すぎる電気街口にあって、どこかホッとする。ともすると、気にとめなければ視界にすら入らないかもしれない。けれど、それがかえって、気にかかる。思わず、店に入りたくなった。
あまり、装飾にこだわらない。地味といえば、それでお仕舞いだが、シンプルと評することもできる。大きな壁掛け時計は、地味な部屋の中にひときわ存在感を称えている。なんかアンバランスな感じ。
ボクはテーブル席に。2人掛けの小さなテーブルが幾つか。このテーブルの表面はガラスになっていて、ガラスの下はブラウンにあつらえられている。ライトブラウンのデザインかなと思っていたが、よくよくみると、ガラスの下には、ローストされたコーヒー豆が敷き詰められていた。
店主の趣味を推測できるのは、たったそれだけ。この店主、かなりのコーヒー好きなのだろう。
ランチのセットから、ボクはホットコーヒーとホットドックを選んだ。コーヒーは、若干の酸味があるが、クセのないフラットな味わいのコーヒー。特に冒険はない。ホットドックはプレーンで、これぞ王道のホットドックを思い起こさせる。店名が古風な「庵」から考えられないアメリカナイズだ。
フレンチの喫茶店が多い中、ホットドックが食べられる店は珍しい。けれど、昼飯としてならホットドックはボリューム的に、ちょっと厳しい。
味はどうか。
悪くない。いや、かなりうまいと思う。
お客さんはほとんどなく、ボクは充分にリラックスした時間を過ごせた。昼休み、頭を空っぽにできたのだから。このランチには、価値があった。
アキバで歩き疲れたら、また立ち寄りたい。
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