栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

中国の春節と民工を取り巻く環境

2007-02-20 11:15:06 | 視点
 18日から中国は旧正月。この前後を合わせ10日~2週間の休みになっている。
日本の大晦日にあたる17日夜は各地で旧正月を祝う爆竹が鳴らされ、負傷者も結構出たようだ。
 その一方で、故郷へ帰れない出稼ぎ労働者(民工)も多い。
数年前、私が春節の時期に上海に行ったときは高速道路の建設中で、故郷へ帰らず建設現場で働く民工が結構いた。政府も高速道路の建設優先と、「民族大移動」による交通渋滞を避けるため、民工にとどまって仕事をするよう呼びかけていた。その代わり雇用主は民工に正月の餅を出すなどしてもてなせというような通達が出ていたが、今回は少し事情が違う、というか年々事情が変わってきているようだ。
最近多いのは帰りたくても賃金未払いで帰れないというケースだ。

 とにかく民工の労働条件は劣悪で、2年前上海で目撃したホテル建設現場では、労働者達は建設現場のビルの屋上に布団を敷いて寝泊まりしていた。
目撃したのは6月頃だったから屋外で寝ても風邪を引く気候ではないが、少なくとも快適とは程遠い環境なのは間違いない。
しかも突貫工事で建設しているから騒音が止むことはなく、その合間を縫って寝ているのである。
 朝早く起きてホテルの窓から建設現場を覗けば、労働者達がパンツ1枚でシャワー代わりに水を被ったり、体を拭いている姿を何度も目撃したものだ。

 いまでこそ我々日本人は中国の劣悪な労働条件を蔑みの目で見ているが、我が国の高度成長を支えたのは中国の民工と同じく東北や九州からの出稼ぎ労働者だから、構図はまったく同じ。かつて経験した道である。

 いま中国政府の最大関心事は「格差是正」。どこかで耳にするのと同じ言葉だが、現代中国の格差は再度革命が起こってもおかしくないほど激しい。特に都心部と農村部の格差はあまりに激しく、各地で暴動やデモが相次いでいるが、政治の舵取りを一歩間違えば共産党政権を揺るがしかねない。
といっても、中国で再び革命が起こることはないだろう。