栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

政権与党の自公が民主党の財源論を批判するのはおかしい。

2009-08-02 18:34:53 | 視点
 今回の選挙戦を見ていると与野党の立場が逆転しているように感じる。
支持率の話ではない。
相手政党のマニフェスト批判のことだ。
本来政権与党は野党のマニフェスト批判ではなく、自らの政策PRに主眼を置くべきだが、今回の選挙戦では自民党は民主党のマニフェスト批判に力を入れている。
「ばらまきだ」「財源はどうするんだ」と。

 こうした批判は野党の言い分だ。
まさに攻守ところが入れ替わっているが、すでに自民党は今回の選挙で野党になることを確信しているのだろう。

 「ばらまき」「財源難」は自・民とも50歩100歩だが、少なくとも政権与党の自民党側に野党の財源論を批判する資格はない。
 なぜなら選挙対策で直前に生活給付金という名でばらまき、国庫を空にした(それに近い状態に持っていっている)のは自民党だからだ。

 もう一つは、財政問題は野党にははっきりわからないと事情がある。
これは政権を取らないとどこにどれだけあり、何がどのように使われていたのかといったことが分からないのだ。
 にもかかわらず、民主党は独自に調査をして金の使われ方を結構調べ上げている。
この点は大いに評価すべきだろう。
 マスコミも民主党の財源論を批判するのではなく、政権与党にもっと情報を開示せよと迫るべきだ。

 ところで、なぜ民主党が「埋蔵金」にしてもかなりのところまで数字を調べられたのか。
それは小沢一郎がいたればこそだろう。
 かつて権力の中枢にいた小沢氏だからこそ、金の配分など政権与党しか知り得ない内容を知っているわけで、そのときの経験に基づき官僚を突くから数字が出てくるのだ。

 こうしたことは別に官僚に限ったことではなく一般社会でも同じで、相手が知っている程度に応じてしか情報は出されない。
つまり情報を聞き出そうとする側に知識がなければ一切情報は得られないのだ。

 逆に言えば、自民党が民主党の財源批判等をせざるを得ないのはそれだけ民主党側が的を射ているということでもあるだろう。